天使なのに、なぜか甘やかされています。



「ぁ…………」

 わたしは部屋の大きな鏡を見て弱々しい声を上げる。

 肩から上と右手以外、薄くなっちゃった…………。
 このまま、世河(せがわ)くんには会えずに消えちゃうんじゃ……。
 だったらせめて、声が聞きたい。

 わたしはベットまで駆けていき、
 枕の横に置いてあるスマホを右手で取って世河(せがわ)くんに電話をかけようとするも手を止める。

 無理だ。
 このまま電話をかけたら、絶対に変だと思われて、世河(せがわ)くんと会うことになる。

 こんな姿、世河(せがわ)くんに見せられない。
 見せたくない。

 ダサワンピを着たまま、その場でぺたりと座り込む。

世河(せがわ)くん……このまま消えちゃったらごめんね……」

 力ない声で謝ると、スマホが鳴った。