天使なのに、なぜか甘やかされています。

「うん……」
「やっぱり、分かっちゃうよね」

「私、(ひじり)に振られた」

「だから、あんまり見ないで。今、酷い顔してるからさ」

「そうか? 俺には頑張った顔にしか見えないけどな」

「ひかり、今まで、めちゃくちゃ頑張ったな」

 ひかりは苦笑いする。
「もう、そんな褒めないでよ」
「頑張れてなんかないよ」

「結局、何も変わんなかった」

 ひかりは泣きそうになり、勝手に歩き出す。

「ひかり!」
「俺も変わってない!」

 千煌(ちあき)が叫ぶとひかりは立ち止まって振り返る。