天使なのに、なぜか甘やかされています。



「あーあ、(ひじり)の前では泣かないつもりだったのにな」

 中庭でひかりは、ぽつりと呟く。
 すると千煌(ちあき)が遠くから駆けてくる。

「はぁっ、ひかり!」

「え、千煌(ちあき)……!?」
「なんで!?」
「あれ? (なお)は?」

「彼女から連絡が来て先に帰ったよ」
「ひかりがここにいることは(ひじり)から電話で聞いた」

「そっか」

 千煌(ちあき)はじっとひかりを見つめる。

「ひかり、泣いてたのか?」