天使なのに、なぜか甘やかされています。

そして中庭を出たところで、スマホに(なお)から電話がかかってくる。
 (ひじり)は電話に出て、右耳にスマホを当てる。

(ひじり)、今、千煌(ちあき)と下駄箱にいるけど今、どこにいる?』
『ひかりとは会ったか?』

「あぁ、さっきまで一緒にいて、今から白鳥(しらとり)のところに行く」

『ちょっとスマホ貸せ』
『おい、千煌(ちあき)!』

 声が千煌(ちあき)に変わる。

『お前、ひかりを放って白鳥(しらとり)ちゃんのところに行くって!?』
『一体どういうつもりだよ!?』

 千煌(ちあき)の怒鳴り声が右耳に響き、少しスマホを右耳から離す。

 すると鞄のポケットがふと目に入り、異変に気づく。

「……羽根、一瞬、薄くなった?」

『おい、なんだって!?』