天使なのに、なぜか甘やかされています。

「え……それって」
「わたしが邪魔だって言うこと……?」

 清丘(きよおか)くんは否定しなかった。
 その瞬間、わたしの両目から光が消え、
 廊下に一人で立ち、足元に影が広がっていく感覚に陥った。




 そして、放課後、
 電車で一人で帰ろうとしたのに、
 世河(せがわ)くんが送ってくれることになり、
 いつの間にかマンションの部屋の前に着いていて、
 お礼を言って別れ、部屋に入り、扉を閉めたことだけ、
 ぼんやりと覚えていて、

 世河(せがわ)くんがどんな顔でわたしといたのか、
 電車も一緒だったはずだけど、
 どんな話をしたのか、思い出せなかった。