天使なのに、なぜか甘やかされています。

あ、外、まだ雨降ってるな……。

 わたしは両肩にかけられたグレーのジャージの上を世河(せがわ)くんに返す。

世河(せがわ)くん、運んでくれてありがとう」
「処置は自分でするからもう大丈夫」

「そう言って、何もしないつもりだろ」
「処置は俺がする」

 世河(せがわ)くんはわたしに言い放ち、ジャージを着て、棚の中からシップ薬を取り出す。

「左肩見せて」

「いい、だ、大丈夫。そんなに酷くないと思うから」

 え、拒否ったのに、じっと見つめられて……。