天使なのに、なぜか甘やかされています。

「あの、喧嘩しないで。大丈夫だから」
 わたしも止めようと声を掛ける。


「どこがだよ」


 世河(せがわ)くんはグレーのジャージの上を脱いでわたしの両肩にかけ、
 そのままひょいっとお姫様抱っこする。

 え。

「ギャアーー!?」
(ひじり)くんがお姫様抱っこ!?!?」
「嘘でしょーー!?」
 女子達が悲鳴を上げる。

「先生、白鳥(しらとり)、保健室連れて行きます」

 与風(よかぜ)先生は右手の親指をグッと立てる。
「分かった、任せる」