天使なのに、なぜか甘やかされています。

「あれ、なんか、ボールの動きおかしくなかった?」
 ひかりちゃんが大人っぽい女子に尋ねる。

「ん? 気のせいじゃない?」
「さすが、ひかり!」

「いぇーい!」

 ひかりちゃんは大人っぽい女子とハイタッチすると、
 壁の前に立って休憩中でゼッケンを取りグレーのジャージを着た世河(せがわ)くん達にも、やったぜ、とわざと男子な口調でピースサインを送る。

 そんな中、わたしは世河(せがわ)くんとふと目が合う。

 え、天使の力使っただろ、みたいな目、してる!?

 わたしはバッと目線を外す。
 すると少しだけくらっとした。