天使なのに、なぜか甘やかされています。



 ――6月。
 昼休みになると、わたしは屋上階段に向かう。

 世河(せがわ)くんとは気まずくて、今日は一言も話してない。
 それに、危ないから屋上階段の立ち入りを禁止したって、霞堂(かすみどう)先生が朝のHR(ホームルーム)で言ってた……。
 でも、世河(せがわ)くんのことだから屋上階段に今日も来ているかもしれない。

 わたしはそんな期待を抱きながら階段を駆け上がっていく。
 けれど、屋上階段の前で立ち止まる。

 目に入ってきたのは、鎖で繋がれた立ち入り禁止の看板だった。