天使なのに、なぜか甘やかされています。

わたしは空き教室から出て屋上階段に向かって廊下を全力で走ると、
 世河(せがわ)くんがその階段から降りて来た。

白鳥(しらとり)、なんで来なかった?」

「ごめんなさい、途中で体調が悪くなって……」

「そう、なら仕方ないな」
 世河(せがわ)くんはどこか寂しげな表情をし、わたしの頭をぽんっと叩いた。

 世河(せがわ)くん、きっと、嘘を付いてごまかしたこと気づいてる。
 だけど、ほんとうのことなんて、言えないよ。