天使なのに、なぜか甘やかされています。

「頑張ったご褒美ってことで」
「着くまでこのままな」

 ドキドキで、どうにかなってしまいそうだ。
 だけど、このまま、隣にいたい。




 そう強く思った。
 けれど、5月の終わり。
 昼休みに屋上階段に行こうとしたところ、右足が薄くなった。

 近くの空き教室に慌てて隠れ、しゃがむと、
 世河(せがわ)くんに、待っていて下さい、とスマホからメッセージを送る。
 なのに、治ったのは昼休みが終わるチャイムが鳴った時だった。