天使なのに、なぜか甘やかされています。

 わたしは緊張気味に右手でぎゅっと握ると、世河(せがわ)くんは、ふっ、と笑う。

 今握った右手も、
 感触があって、
 体温が伝わってきて嬉しい。

「部屋に戻るぞ」

「うん」

 その後、体調を心配されたものの、大丈夫だと言い張ると、
 世河(せがわ)くん達は前に出て、
 アコースティックギターの星谷(ほしや)くん、エレキギターの世河(せがわ)くん、同じエレキギターでベースの清丘(きよおか)くんの順に並び、演奏をし始めた。

 演奏だけでもかっこいいのに、
 目が合った瞬間、世河(せがわ)くんは黒いエレキギターを弾きながら歌い始める。

 もう、ときめきが止まらない。