天使なのに、なぜか甘やかされています。

 もうだめだ――――と思ったら、左手はなぜか治っていた。

 右手は自分から太ももの横にそっと出して見る。
 右手も同じく治っていた。

 じわりと目頭が熱くなる。

 良かった、これで戻れる。

「おかわり何飲む?」

「あ、じゃあ、ネルピスで」

「分かった、ここで待ってろ」

 世河(せがわ)くんはそう言って、ドリンクバーまで行き、
 ネルピスをグラスについで左手で持ち、戻ってくる。
 わたしはお礼を言い、受け取ろうとすると世河(せがわ)くんは、部屋まで持ってくよ、と右手を出す。

世河(せがわ)くん?」