天使なのに、なぜか甘やかされています。

白鳥(しらとり)、ここで待ってろ」
「鍵盗んでくる」

「わ、分かりました」

 世河(せがわ)くんは職員室に入り、サッと鍵を盗み、戻ってくる。
 すると懐中電灯の光が見えた。

白鳥(しらとり)
 わたしは腕を掴まれ、階段下に隠れる。

 近い……。
 世河(せがわ)くんに心臓の音が聞こえてしまいそう。

「誰かいた気がしたが、気のせいか」
 見回りの涼宮(すずみや)先生はそう言って、去っていく。

「行ったみたいだな」

 わたしと世河(せがわ)くんは見つめ合う。
 わたしが目を逸らすと、世河(せがわ)くんはわたしの腕を掴んだまま歩き出し、階段を上がり始める。