天使なのに、なぜか甘やかされています。

 泣くのが止まると、わたしから離れる。

「じゃあ、世河(せがわ)くんが心配で来ただけだから、わたし、もう帰るね」

「まだ流星群見てないし、ここで帰ったら約束破ることになるけど?」

 う、
 た、確かに……。

「それに、お前が千煌(ちあき)達と帰って、普通に妬いたし」

「え……」

「あの状況じゃ仕方なかったけど、止めて欲しかったわ」
「って、まあ、そんな事はもういいから」
「お前は流星群見たくねぇの?」

「み、見たいです」

「なら、垣根の抜け穴から行こう」

「ま、待って、飛んで行った方が速いかも……」

「何言ってんの?」
「忍び込むから楽しいんだよ」

 えぇ!?

「ほら、行くぞ」

「は、はい」

 わたしは世河(せがわ)くんの後に続き、抜け穴を抜けて忍び込み、校舎の中を静かに通っていく。