天使なのに、なぜか甘やかされています。



 そう決め、時間は進み――、20時。

 あと30分で世河(せがわ)くんとの約束の時間。
 でも、わたしは好きな人の幸せを願うって決めた。
 だから。
 
 わたしは右手のスマホのレイン画面を見つめる。
 
 早く電話して断らなきゃ。
 なのに手が動かない。

 このままじゃ、無断で約束を破ることになっちゃう。

 それはぜったいにだめ。
 とにかくかけよう。

 わたしは意を決して世河(せがわ)くんにレイン電話をかけ、右耳にスマホを当てる。
 だけど、一向に出ない。

 世河(せがわ)くん、まだ、ひかりちゃんと一緒にいるのかな?
 だとしても電話には出られるはず。