好きなのに、進めない。【番外編】

「ねぇ、みのりちゃん。中学入ってから、今まで6年間で何回告白された?」

「え?駿くん急に何?もしや、告白された回数が多い方が軽い方のゴミを持つとか?」

「そんな罰ゲームやらないから。で、どうなの?」

「んーっ。3回ぐらいかな?」

「えっ?3回も?」

「うち一回は、例のバスケ部の後輩くんだよ。駿くんみたいに、私モテないもん。」

いやいや、司があれだけ目を光らせた5年間に3回も告白されてたのか!あの後輩くんはさておき、他の2人って誰だ?司知ってんのかな。知らなかったら笑えるな。
今日の部活終わりに言ってみよ。

「お疲れ。ラーメン行こうぜ。」

「おー。今日みのりちゃんと日直だったんだけど。」

「名前で呼ぶな。」

「はいはい。みのりちゃんって司んとこの後輩くん入れて3回も告白された事あるらしいよ。」

「は?知らねーんだけど。なんてやつ?うちの学校?」

「しらねーけど。ってか、てっきり、知ってるもんだと…。」

「俺の知る限りは、うちの後輩ぐらいなんだけど他は知らないな。マジか。気になるし、今夜聞いてみるわ。」

「聞くのかよ!過去の話だから別に良くないか?」

「良いわけないだろ。そいつとまだ繋がってて、ころっと向こうに行かれるかもしれないし。まだ気になってるかもしれなくね?」

「おいおい、イケメン。どれだけ好きなんだよ。てか、余裕無さすぎだろ!」

「余裕なんてあるわけ無いだろ。あいつ、モテるし。ぼーっとしてるとこあるだろ?他の男に取られないかいつも不安。」

「女嫌いなのに、良くみのりちゃんの事好きになったよな。」

「別に男が好きなわけじゃないからな。女嫌いってか、みのり以外興味ないだけ。」

「はいはい、ご馳走様です。」

司ぐらいモテたら、変な話選び放題なのに、みのりちゃんの事となると全然余裕ねーのな。今時、硬派というか、一途と言うか…

「なんて、聞けば良いかな?」

「何を?」

「みのりに告白した男の話だよ。」
 
「悩むなら、聞かなきゃ良くね?」

「でも、気になるだろ。」

「普通で良いんじゃん?」

「小さい男って、思われそうじゃん?」

「モテまくりの司も、そこは気にするんだな。」

「ほっとけ。」

数日後に受けた報告では、結局タイミングが無く聞けなかったと…チキンな司。普段の司とのギャップが面白すぎて、ツボにハマった俺に「何でそんなに笑ってるの?」と聞くみのりちゃんに、「みのりには、関係ないから。」と、焦って答える司。さらに笑いが止まらなくなった駿くんでした。