好きなのに、進めない。【番外編】

いつもよりちょっと遅くまで友達と遊んだ帰りに、駅のホームで他校の男バス集団と遭遇。その中に、前に一目惚れしためっちゃカッコイ人がいる!あぁ、今日もイケメン!

背も高いし、顔も小さいし、笑った顔素敵すぎ!思い切って、友達に言ってみる。

「ねぇ、あの人カッコよく無い?あの男バス集団の端っこの背が高い人!」

「え?左の?」

「うん、今スマホいじってる人。」

「あぁ、あの人キャプテンでしょ?有名じゃん。」

「え?知ってるの?知り合い?」

「知り合いじゃないけど、うちの学校にもファンが多いよ!女嫌いで、超有名。話しかけても無視か、ズバッと断られる。んで、彼女いるよ。」

「女嫌いなのに、彼女はいるんだ。一目惚れだったのにー!」

「しかも、彼女の事5年間も片想いし続けてやっと付き合えるようになったから、邪魔するなってしつこく絡んできた子達に言ったらしいよ。
凄くない?あんなイケメンなのに、5年間片想いとか。違う意味でもイケメンだよね。ま、諦めな!じゃ、私電車きたから乗るわ。また明日〜」

「うん。また明日ね!」
いや、普通彼女いるよね。5年も片想いされるとか羨ましい。

同じ方向だし、見る分には自由だから駅に着くまで眺めさせてもらおう。前回は制服だったけど、部活ジャージも似合うな。5年間も片想いした彼女どんな子なんだろう。綺麗系かな?逆に、気になるーー!

降りる駅に着くと、彼も降りた!もしかして、同じ駅だったの?しかも、駐輪場も同じところ??なぜ、今まで会わなかったのよ…

彼が向かって行く先に自転車の荷台に座ってでスマホをいじってる女の子がいる。もしかして、彼女かな?2人の声が聞こえて来る。

「遅いーー!待たせすぎ!」

「ごめんって。だから、学校で待ってろって言っただろ。もう付き合ってんのみんな知ってんだし、電車ずらす必要無くない?それよりも、スカートが短すぎる。今すぐ下せ。」

「はいはい。司って、本当にうるさいよね。うちのお父さんでもそんな事言わないけど。」

「おい、天然。そんな短くして、他のやつに見られたらどーすんだよ。」

「天然じゃ無いし。このぐらい普通です〜過保護か!」

彼女面白すぎ!そして、司くんって言うんだ。見た目から、想像してたキャラと違うな〜。

「心配なんだって、マジで。変なやつにまた付き纏われたらどうすんだよ。今もスマホの電源切れてるだろ。明日からは一緒に帰るから。」

「やっぱ気付いてたよね?何度も電源入れ直したんだけど、充電無いみたい。一緒に帰るのは後ろ向きに検討しておく。」
スマホ見てたんじゃ無くて、電源入れ直してたのか…ガラケーじゃ無いんだから無理でしょ…

「またそれかよ。心配すぎて、マジで部活ちょっと早めに引退しようかな。」

「そこは、頑張って!応援してるし!」

「もう、みのりの事好きすぎて頭おかしくなりそうなんだけど。マジで心配。じゃあ、連絡つかないのだけは勘弁して。」

「ちょっと、外で急にそんな事言わないで。誰か聞いてるかもしれないでしょ!」
抱きしめて、そんな事言う?さらに、照れてる彼女が可愛すぎる…私、めっちゃ近くにいてイヤホンしてるけど音楽かけてないから丸聞こえだよ!

「好きなもんは好きなんだから、しょーがなく無い?みのりも好きって言ってくれて良いよ?」

「無理!恥ずかしい!あっち行って!」
なんかもう、私も恥ずかしい!女嫌いなのに、彼女には激甘じゃん!

「はいはい。ほら、送るから帰るぞ。カバン。」

「なんか、いつもより重い〜!」
彼女のカバンを自転車のカゴに入れて、司くんのカバンを彼女がかけて2人乗りして帰るのか。
なんか、いいなぁ〜。

「そうか?お前のカバンが空っぽなだけだろ?」

「失礼なんだけど!苦いチョコ買っておいたけど、あげないよ?」

「はいはい。苦いチョコってどーせビターだろ?あれ甘いから。捕まった?落ちるなよ。」

「甘く無いよ。落とさないでね?」

「落とした事無いでしょって。照れてないで、ちゃんと捕まっとけよ。」

「もー。ここは、明るいから恥ずかしいの!もっと暗い道に行ったら、ちゃんとギュッてするから!」

「じゃあ、暗い道ばっか通って帰ろうな。」

2人は、2人の世界に入ったまま駐輪場を出て行った。
優しい眼差しで、彼女を見つめる司くん。
からかってみたり、甘くなったり、彼女の事好きすぎるオーラ全開!さらに、彼女可愛かった!!
女の私でも可愛くて好きになりそう!
美男美女で相思相愛。こりゃ、入る隙無いわ。

私も、あんなカップルになりたいな。
つかみのカップルのファンになった女の子のお話でした。