アラームが鳴る。
胸騒ぎがしていつもなら開かない目が簡単に開いた。
スマホをチェックする。
インスタのDMを開く。
【詩音ちゃん、早川颯太と幼馴染だよね?颯太くん隣の女子校の子と夜の12時ごろ仲良さそうに歩いてたよ。
彼女いるならあんまり隣にいない方がいいと思う、、
知ってるかもしれないけど一応ね?】
え?
いやいや嘘でしょ、てか誰?
「証拠はあるんですか?」
恐る恐る返信を返す
【撮れるわけないじゃん、バレたら大変だもん笑笑
でもほんとにあれ颯太くんだから気をつけたほうがいいよ、、!】
どの口が言ってんだよなんて思っても信じてしまいそうな自分がいた。
急いで起き上がって支度をする。
「今日朝ご飯いらない…」
【え、ほんと?】
お母さんの話も蔑ろにして急いだ。
いつもより適当にメイクして髪を結んで玄関を出た。
彼がいつも私の玄関に来るのは7:30
現在時刻7:20
電話を掛けても出なかった。
きっと3,4回掛けた頃だろう、着信の主は彼だった。
『朝からなんでそんな、』
玄関の戸が開いたと思えばスマホを耳にあてた彼が出てきた。
『え、なに?今日早いじゃん』
ふと思う。なぜこんなに私は焦っているのか。
でももう自分の思考に身を任せた。
「昨日の12時なにしてた、?」
『え?詩音に数学教えてたじゃん、忘れたの?』
あ、そうだ。
彼は深夜12時私のために時間を割いてくれていた。
そう思うと申し訳なさと情けなさと安心で感情がぐちゃぐちゃになった。
『え、なに、大丈夫?泣いてる、?』
「………泣いてない」
実際のDMの画面を彼に見せた。
彼の手に渡ったスマホ、少し震えた私の手。
『いや待ってなんだよこれ、俺彼女いないしいたら詩音と一緒に登校なんてしないんだけど?』
そうだ、やっぱり彼にそんな人はいない。
私の記憶の限りだと彼の恋は中2で終わっている。
私の初恋は小4、彼の初恋は小5だった。
それも互いに互いを好きになった。
でもそれはどう考えても 愛 ではなく 好 だった。
ありふれた小学生の恋愛感情だ。
だからか私たちは互いの初恋についてなにひとつ恥じなく話すことができた。
そして2回目の恋。
私も彼も中2だった。
私は隣のクラスのサッカー少年を、彼は学年1の絶対的美少女を好きになった。
私たちは互いを誰よりも1番応援した。
その年のクリスマス、私たちは告白をした。
でも2人して私たちを振ったのだ。
理由は簡単。
幼馴染である互いのせいだった。
互いに応援していたのに知らないうちに互いの恋を壊していた。
それから私たちは1回も恋らしいことをしていない。
『俺あんなに昨日頑張って数学教えたのに忘れてたのかよ残念だわーー』
「もう…全部メイク落ちちゃったじゃん…!!」
『だから変わんねえって笑笑』
「黙んな」
『んーじゃあ今日学校サボっちゃう????』
「だめ、昨日数学理解できたんだもん授業受けたい」
『じゃあ早く行くぞ』
初めて感じる感情だった。なにこれ?
