遥斗と映画を観に行ってから一週間が経った。
朝、部屋の中で私は不思議な出来事に遭遇した。
――あれ? よつばのクローバーが私の鞄の中にある。なんでふたつ? 確か、遥斗の財布にひとつ入れたよね? だから手元にあるのはひとつなはずだけど。
考えているとスマホの音が鳴る。
「あっ、遥斗から着信だ」
すぐに電話に出た。
「もしもし」
「もしもし……咲良、今、電話大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ!」
「ちょっと、いや、結構不思議なことがあってさ」
「不思議なこと? なになに?」
「財布の中に、入れた記憶がない、よつばのクローバーが入っててさ……」
見つけてくれたんだ!
「それね、私が入れたの!」
「だからか!」
「というか、よつばのクローバー、私の鞄の中にも入ってたんだよね……私がこないだ見つけたやつは、スマホケースに入れといたのに。鞄に入れた記憶、全くないんだけどな……だからね、今、何故かふたつもってるの」
「あ、それ、入れたの僕だよ!」
――遥斗が私の鞄の中に?
「そうだったの?」
「だって、それ持ってたら、幸せになれるらしいじゃん? 咲良にはいっぱい幸せになってほしいなって思って」
「……」
嫌だ、そんなこと言われると泣きそうだよ――。でも、泣かないで私も、遥斗に気持ちを伝えたい。
「ねぇ」
「何?」
「私もね、遥斗に幸せになってほしくて、お財布の中に入れたんだよ!」
「咲良……」
「何?」
「今、すごく、会いたい」
「私も、会いたい!」
近くの公園で待ち合わせをした。私は急いで準備をすると、外に出た。
「咲良ー!」
先に着いていた遥斗が手を振ってきた。
「遥斗!」
私も手を振り返す。
「なんとなく、よつばのクローバー、ふたつ持ってきちゃった」
「僕も持ってきた!」
同じことをしているのが嬉しくて、自然と笑みがこぼれる。遥斗も笑顔だ。
「とりあえず、ベンチの上に並べてみようか」
「うん!」
「よつばのクローバーがみっつ!」
「3倍幸せになれそうだね!」
「全部、遥斗に持っててほしいな!」
「僕は、咲良に持っててほしい」
ふたりの目が合った。
「ねぇ、咲良」
「何?」
「本当は僕ね、恋したらどんな気持ちになるか知ってたんだ!」
「……」
「いっぱい、いっぱい相手には幸せになってほしいって思うんだ」
「それって……」
「そう、大好きな咲良には、いっぱい幸せになってほしいんだ」
はっきりと遥斗は、今の気持ちを伝えてくれた。
「私もね……遥斗にはいっぱい幸せになってほしいんだよ! 私も、恋する気持ち……実は、ずっと知ってたの!」
私はぎゅっと手に力を込める。
「いつも遥斗のこと考えちゃって……」
少し声が震えて、遥斗から目を逸らしてしまった。でも、もう一度目を合わせ、勇気を出して続ける。
「一緒にいたくて……好き、です」
ふわりと温かい風がふたりの横を通っていく。
「咲良……」
ずっと言いたかった言葉が、やっと言えた――。
遥斗の目がうるっとしている。
「僕と咲良、ふたりでよつばのクローバー、みっつ分……いや、もっともっと幸せになろうか」
「うん、一緒に、幸せになりたい」
「咲良、ぎゅってしていい?」
「うん」
私がうなずくと、遥斗は私を優しく包んでくれた――。
離れると、ふたりで照れ笑いした。そして照れながら手を繋いだ。
よつばのクローバーが、幸せになるお手伝いをしてくれたのかな?
✩.*˚
朝、部屋の中で私は不思議な出来事に遭遇した。
――あれ? よつばのクローバーが私の鞄の中にある。なんでふたつ? 確か、遥斗の財布にひとつ入れたよね? だから手元にあるのはひとつなはずだけど。
考えているとスマホの音が鳴る。
「あっ、遥斗から着信だ」
すぐに電話に出た。
「もしもし」
「もしもし……咲良、今、電話大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ!」
「ちょっと、いや、結構不思議なことがあってさ」
「不思議なこと? なになに?」
「財布の中に、入れた記憶がない、よつばのクローバーが入っててさ……」
見つけてくれたんだ!
「それね、私が入れたの!」
「だからか!」
「というか、よつばのクローバー、私の鞄の中にも入ってたんだよね……私がこないだ見つけたやつは、スマホケースに入れといたのに。鞄に入れた記憶、全くないんだけどな……だからね、今、何故かふたつもってるの」
「あ、それ、入れたの僕だよ!」
――遥斗が私の鞄の中に?
「そうだったの?」
「だって、それ持ってたら、幸せになれるらしいじゃん? 咲良にはいっぱい幸せになってほしいなって思って」
「……」
嫌だ、そんなこと言われると泣きそうだよ――。でも、泣かないで私も、遥斗に気持ちを伝えたい。
「ねぇ」
「何?」
「私もね、遥斗に幸せになってほしくて、お財布の中に入れたんだよ!」
「咲良……」
「何?」
「今、すごく、会いたい」
「私も、会いたい!」
近くの公園で待ち合わせをした。私は急いで準備をすると、外に出た。
「咲良ー!」
先に着いていた遥斗が手を振ってきた。
「遥斗!」
私も手を振り返す。
「なんとなく、よつばのクローバー、ふたつ持ってきちゃった」
「僕も持ってきた!」
同じことをしているのが嬉しくて、自然と笑みがこぼれる。遥斗も笑顔だ。
「とりあえず、ベンチの上に並べてみようか」
「うん!」
「よつばのクローバーがみっつ!」
「3倍幸せになれそうだね!」
「全部、遥斗に持っててほしいな!」
「僕は、咲良に持っててほしい」
ふたりの目が合った。
「ねぇ、咲良」
「何?」
「本当は僕ね、恋したらどんな気持ちになるか知ってたんだ!」
「……」
「いっぱい、いっぱい相手には幸せになってほしいって思うんだ」
「それって……」
「そう、大好きな咲良には、いっぱい幸せになってほしいんだ」
はっきりと遥斗は、今の気持ちを伝えてくれた。
「私もね……遥斗にはいっぱい幸せになってほしいんだよ! 私も、恋する気持ち……実は、ずっと知ってたの!」
私はぎゅっと手に力を込める。
「いつも遥斗のこと考えちゃって……」
少し声が震えて、遥斗から目を逸らしてしまった。でも、もう一度目を合わせ、勇気を出して続ける。
「一緒にいたくて……好き、です」
ふわりと温かい風がふたりの横を通っていく。
「咲良……」
ずっと言いたかった言葉が、やっと言えた――。
遥斗の目がうるっとしている。
「僕と咲良、ふたりでよつばのクローバー、みっつ分……いや、もっともっと幸せになろうか」
「うん、一緒に、幸せになりたい」
「咲良、ぎゅってしていい?」
「うん」
私がうなずくと、遥斗は私を優しく包んでくれた――。
離れると、ふたりで照れ笑いした。そして照れながら手を繋いだ。
よつばのクローバーが、幸せになるお手伝いをしてくれたのかな?
✩.*˚



