恋する気持ちとよつばのクローバー🍀*゜

 私と遥斗は幼なじみで、小さい頃から一緒に遊んだりしていて、とても仲が良かった。親友みたいな感じかな?

ずっとそんな関係のまま、私は十九歳、遥斗は二十歳になった。

 今日は私が働いている花屋はお休みで、遥斗も通っている大学が休み。

 朝から遥斗と一緒に電車に乗り、映画館に行くために、住んでいるところから離れている街に来た。

 今日は、恋愛映画『君と一緒にいるために』を映画館で観ることを遥斗に伝えたら「僕も行く!」って、遥斗は付き合ってくれた。

 朝起きた時から、久しぶりに映画館の大きなスクリーンで映画が観れること、そして遥斗と一緒にお出かけ出来ることにワクワクしている。

 住んでいるところとは違って、駅前は人で賑わっている。駅の隣にある、ショッピングモール。その中にある映画館に着いた。

 遥斗からチケット代を受け取り、受付でふたり分のチケットを購入していると、売っているポップコーンの匂いが食欲をそそってくる。

 ちょっと食べたいかも?と思いながら、ポップコーンと飲み物を持っているカップルをちらりと見た。

「咲良、ポップコーン食べる?」
「うん、食べる!」
 
 私の視線に気づいて、多分今、聞いてくれた。

 小さいサイズを注文するのかな?って思っていたら、大きなエルサイズのポップコーンと、エムサイズの飲み物ふたつセットのを注文した。

 金額も、大きい――。

「私、半分お金出すね」
「出さなくていいよ」
「でも……」
「じゃ、次、何かあるとき出して?ってか、これ食べ切れるかなぁ。咲良、いっぱい食べてね!」

 遥斗はふふっと笑った。

「ありがとう!」
「咲良、飲み物どうする?」
「オレンジジュースにしようかな?」

 ちなみにオレンジジュースは遥斗が好きな飲み物。

 お揃いのオレンジジュースを買い、微笑み合うと私たちは映画館の奥へ進んだ。5番と書いてあるスクリーンがある部屋に入る。まばらにお客さんがいる感じで、結構空いていた。ふたりは並んで真ん中辺りに座った。

 はじめは、映画を楽しんでいてくれるかな?って、気になって遥斗をチラ見していたけれど……。いつの間にか映画に夢中になっていた。いっぱい感動して泣いたり、笑ったりした。

 映画が終わってエンドロールが流れる。

 映画の世界から、現実世界に気持ちが戻ってきた。薄暗い中、気づかれないように遥斗を見つめると、急に涙が止まらなくなってきた。

 明るくなると、ふたりは受付がある場所へ。

「あのふたり、結ばれて良かったね」
「そうだね。映画、楽しかったな! 」

 遥斗が心配した表情で私をのぞき込む。

「……咲良、大丈夫か?」

 涙を止めようと、息を止めてみる。でも、ダメだった。一瞬止まっても、すぐにまた溢れてくる。

「これで涙、拭きな? いっぱい感動したんだね」

 涙が止まらない私を見て、遥斗がハンカチを貸してくれた。

「本当に大丈夫? どこかで休もうか?」
「うん、休む。ありがとう」

「とりあえず、そこにベンチあるから座ろうか?」

 遥斗は受付前にあるベンチを指さし、私は頷いた。

 私が今泣いているのは、映画に感動したから?

 違う……。

――私が今泣いているのは、映画が感動したからではない。映画で結ばれたふたりみたいに、今、目の前にいる遥斗と、両想いになりたいと、強く思ったから。

 だけど、その言葉は言えなくて。
 言えないまま、ただ黙って涙が枯れるくらいに泣いた。

 しばらくすると、涙が止まってきた。

「ケーキ、食べたくない?」と遥斗が言う。

 結局ポップコーンは、余りそうだったのを遥斗が一気食いして、綺麗になくなった。遥斗は今、お腹がいっぱいな気がするけれど。私のことを考えてしてくれた質問だ、きっと。

「うん、泣いたらお腹すいてきた」

 私は笑顔を作って遥斗と目を合わせた。