「ああ、すまない、つい」
(つい?何が?)
ティアラは内心驚いているが、表情筋が死んでいるので真顔のままその魔術師を見つめる。
「どうも、俺はこの国で魔術師をしているクレイス・シュタインだ」
「……初めまして。ティアラ・ガイアスと申します」
クレイスの挨拶に、ティアラがドレスの両端を両手で軽く持ち上げ挨拶を返すと、クレイスはティアラを見て微笑む。
「やはり君は美しい人だね」
「……はい?」
(この人、何を言っているんだろう?私を美しいだなんて、揶揄っているのかしら)
ティアラはものすごく戸惑っていた。無表情で愛想の全くない自分を美しいと言う人間なんて、今までどこにもいなかった。むしろ可愛げがないとか、つまらないとか、氷のように冷たいだとか言われている。美しいと言われるなんて初めてのことで、心臓はバクバクと鳴り響いていた。けれど、ティアラの表情は心とは反対に全く動くことがなく、ずっと無表情だ。
「クレイス様!この国の筆頭魔術師ともあろう方がそんな愛想のない女に話しかけるなんて……しかも美しいだなんて冗談はおやめください!」
「あれ?君には彼女の美しさが理解できない?そうか、そういえば君はさっき彼女に婚約破棄を言い渡していたものね。残念だなぁ、こんなに美しいご令嬢をふってしまうだなんて」
「な、何をおっしゃってるんですか!久々に帰ってきたからって、悪ふざけも度が過ぎます。その女は呪いをかけられた悪しき女なんですよ。どんな時でも無表情なのです。しかも、自分だけが呪われたことに腹を立て、美しい令嬢を見ると執拗に嫌がらせをしているとか。こんな最低な悪女のどこが美しいんですか」
(今に始まったことじゃないけれど、人様の前でこうして大きな声ではっきりと言われると、やっぱり傷ついちゃうな。しかも、また根も葉もない噂を言われている)
(つい?何が?)
ティアラは内心驚いているが、表情筋が死んでいるので真顔のままその魔術師を見つめる。
「どうも、俺はこの国で魔術師をしているクレイス・シュタインだ」
「……初めまして。ティアラ・ガイアスと申します」
クレイスの挨拶に、ティアラがドレスの両端を両手で軽く持ち上げ挨拶を返すと、クレイスはティアラを見て微笑む。
「やはり君は美しい人だね」
「……はい?」
(この人、何を言っているんだろう?私を美しいだなんて、揶揄っているのかしら)
ティアラはものすごく戸惑っていた。無表情で愛想の全くない自分を美しいと言う人間なんて、今までどこにもいなかった。むしろ可愛げがないとか、つまらないとか、氷のように冷たいだとか言われている。美しいと言われるなんて初めてのことで、心臓はバクバクと鳴り響いていた。けれど、ティアラの表情は心とは反対に全く動くことがなく、ずっと無表情だ。
「クレイス様!この国の筆頭魔術師ともあろう方がそんな愛想のない女に話しかけるなんて……しかも美しいだなんて冗談はおやめください!」
「あれ?君には彼女の美しさが理解できない?そうか、そういえば君はさっき彼女に婚約破棄を言い渡していたものね。残念だなぁ、こんなに美しいご令嬢をふってしまうだなんて」
「な、何をおっしゃってるんですか!久々に帰ってきたからって、悪ふざけも度が過ぎます。その女は呪いをかけられた悪しき女なんですよ。どんな時でも無表情なのです。しかも、自分だけが呪われたことに腹を立て、美しい令嬢を見ると執拗に嫌がらせをしているとか。こんな最低な悪女のどこが美しいんですか」
(今に始まったことじゃないけれど、人様の前でこうして大きな声ではっきりと言われると、やっぱり傷ついちゃうな。しかも、また根も葉もない噂を言われている)



