あなたのキスで血が巡る


わたしは広瀬さんのマンションに戻ると、ピルを飲み、いつもの一人掛けソファーに腰を掛けた。

広瀬さんは避妊をしてくれないので、ピルは必須なのだ。

ソファーに座りながら、空を眺める。

今日は雲もなく綺麗な青空だ。

そして、わたしの頭の中には、日野石くんの顔が思い浮かんでいた。

広瀬さん以外の人と話したのは、接したのはいつぶりだろう。

わたしは手に持つスマホの画面をつけ、LINEを開いた。
それから"ともだち"一覧を見る。

"れい"

日野石くんの名前だ。

アイコンは猫。
日野石くんが飼ってる猫かな。

飼い主が日野石くんだなんて、この猫ちゃんは羨ましいなぁ。

きっと、たくさん愛されてるんだろうなぁ。

日野石くん、彼女はいないのかな。
いや、日野石くんならいるよね。

それなのに、わたしとLINE交換して良かったのかな。

気付けば、わたしは日野石くんの事ばかり考えていて、孤立していた自分の中の世界が少しだけ広がったような気になっていた。