あなたのキスで血が巡る


「野花の生き方に口出しは出来ないけど、、、でも、俺は今の生き方が良いとは思えない。飼われてるなんて、おかしいよ。」

日野石くんはそう言うと、スーツのポケットからスマホを取り出し、操作するとわたしに画面を向けた。

「何かあったら、連絡して?俺に出来ることがあれば、助けるから。」

日野石くんはそう言って、わたしに向けたスマホの画面には、LINEのQRコードが表示されていた。

"助けるから"

何で、、、?
わたしなんかを助けようとしてくれるの?

高校の時、ただ同じクラスだっただけで、話したこともなかったのに。

そう思いながらも、わたしは日野石くんのLINEのQRコードを読み込み、LINE登録した。

"ともだち"の中に広瀬さんの名前しか無かったけど、"れい"という名前が加わった。

何か、嬉しい、、、

、、、嬉しい?
嬉しいって、こんな感情なんだ。

そして、わたしたちは注文して運ばれてきたカフェラテとミルクティーを飲み終えると、カフェを出た。

「コート、ありがとう。」
「本当に大丈夫?コートそのまま着て帰ってもいいよ?」
「大丈夫。野宿してた時期もあるから、このくらい平気。それに家、すぐそこだから。」

わたしはそう言って、すぐそこに聳え立つタワーマンションを指差した。

「え?!あれ?!」
「うん、じゃあ、、、今日はありがとう。」

そう言って背を向け歩き出すわたしの背中に、日野石くんは「またな!」と声を掛けた。

"またな"、、、

"また"があるのかなぁ。