あなたのキスで血が巡る


「あ、これは、、、」
「え、手首にも痣あるじゃん。何があったの?!」

わたしの肩に手を置き、心配してくれる日野石くん。

わたしは何と答えていいか分からず、黙ったまま俯いていた。

すると、日野石くんは「とりあえず、どっか店に入ろう?」と言い、わたしの背中に手を添え、わたしの隣を歩いた。

わたしなんかと一緒に居て、恥ずかしくないのかな?

どうして、そんな心配してくれるんだろう。

わたしは初めての優しさに触れ、戸惑いながらも日野石くんと共に公園近辺にあったカフェへと入った。

「野花は何飲む?」
「えっと、じゃあ、、、ミルクティー。」

わたしがそう言うと、日野石くんは店員さんに「ミルクティーとカフェラテお願いします。」と注文していた。

「で、野花。何から訊いたらいいか分かんないけど、、、元気そうでは、ないな。」

日野石くんはそう言って、テーブルに腕を置き、前のめりになった。

「日野石くん、、、わたしなんかと一緒に居て、恥ずかしくないの?」
「恥ずかしい?何で?」
「だって、、、わたしの退学理由、、、知ってるでしょ?」

わたしがそう言うと、日野石くんは「知ってるよ。でも、好きでそんなことしてたわけじゃないだろ?理由があって、仕方なくしてたんじゃないの?」と言った。

日野石くんの言葉に、わたしは涙が溢れてきた。

わたしはみんなに穢れた者扱いされてきた。
なのに、日野石くんは何でそんなこと言うの?

何で、、、わたしの枯れた心に水滴を垂らすような言葉をかけてくれるの?