あなたのキスで血が巡る


「ひ、日野石、くん、、、?」

わたしがそう言うと、日野石くんは「久しぶりぃ!」と明るい表情で歩み寄って来た。

しかし、わたしは俯いた。

あんな理由で退学になって、こんな穢れたわたしなんかが、学校で人気者だった日野石くんと目なんて合わせられない。

何で、、、何でわたしなんかに声を掛けてくれたの?

「野花、寒くないの?!コートも着ないで、、、」
「わたし、寒いの慣れてるから、、、」

すると、日野石くんは自分が来ていたネイビー色のコートを脱ぎ、わたしの肩に羽織らせてくれた。

その日野石くんの行動に驚くわたし。

何で?何でわたしに、、、そんなに優しくしてくれるの?

人の優しさに触れた事のないわたしは、日野石くんの行動の意味が分からなかった。

「な、何で?日野石くんが寒くなっちゃうじゃない。コート返すよ。」

わたしはそう言ってコートを返そうとすると、日野石くんは「いいから着てて!俺は平気だから!」と言った直後、日野石くんの明るい表情がふと消えた。

そして、日野石くんの視線がわたしの首元に向いている事に気付き、わたしは慌ててコートを首元まで覆うように羽織った。

「野花、、、その痣、、、」

あぁ、、、首の痣、見られちゃった、、、