「やめてください、近所迷惑です。警察呼びますよ。」
「リラを返してくれれば、すぐに帰るよ。」
「リラはあなたの物ではありません。」
「いや、俺の飼い猫だ。返してもらえないと困る。」
「飼い猫?リラは人間です。それにあんなに傷付けられて、、、それを分かってて、返すわけないじゃないですか。」
「君、若造のくせに生意気だな。俺は、TNT株式会社の社長だぞ?」
広瀬さんは自信満々な口調でそう言った。
すると、玲は冷静な口調で「知ってますよ。こちらも、あなたのことを調べさせていただきましたから。」と言った。
「何?」
「広瀬さん。あなたの会社、SANYと取引がありますよね?」
「な、何でそんなこと知ってるんだよ。」
「僕の父は、SANYの代表取締役社長なんですよ。」
玲がそう言うと、広瀬さんは黙り込んだ。
予想外過ぎて、言葉が出てこないのだろう。
「お引き取りくださらないようなので、TNTさんとの契約は無かったことにさせていただきます。あとは、リラに乱暴した罪として、被害届も出させていただきますので、覚悟しといてください。」
「いや!それは勘弁してくれ!SANYさんとの取引が無くなったら、うちは!」
「もうこちらは話すことがないので、それでは。」
玲の言葉が聞こえたあと、玄関のドアが閉まる音が聞こえた。
そして「リラ。」と玲がわたしを呼ぶ声が聞こえてきたので、寝室から顔を出した。
そこには、「リラ、おいで。もう大丈夫だよ。」と言い、両手を広げる玲の姿があり、わたしは玲の胸に飛び込んだ。
「怖かった、、、」
「大丈夫。もうリラに危害が及ばないようにするから。」
「ありがとう、、、玲。」
わたしは安堵から涙を流し、玲に強く抱きついた。
玲もまた、わたしを強く抱き締めてくれたのだった。



