あなたのキスで血が巡る


その日、わたしは18時前には広瀬さんのマンションに居られるように玲に車で送ってもらった。

本当は帰りたくなかった。

でも、突然わたしが居なくなったら、広瀬さんがどうするか分からない。

"リラを手放す気はない"

そう言っていた広瀬さんの事だから、突然わたしが居なくなったら確実にわたしを探すだろう。

広瀬さんは優しいけれど、それはきっと表向きの顔で、裏の顔はきっと恐ろしい。

だから、どうやって広瀬さんの元から逃れるか、考える必要があった。

広瀬さんのマンション付近に到着すると、玲は心配そうに「大丈夫?」と声を掛けてくれた。

「うん、、、大丈夫。今日はありがとう。玲に会えて嬉しかった。」
「俺も嬉しかったよ。また何かあったら、連絡ちょうだい?」
「うん、ありがとう。」

そう言って、わたしは玲の車から降りると、手を振って車で去って行く玲を見送った。

すると、ポツポツと冷たい雨が降ってきた。

わたしは急いで広瀬さんのマンションに帰ると、ガウンに着替え、今日もいつも通り何も無かったかのように一人掛けソファーに座り、外を眺めた。

雨、強くなってきたなぁ。

それから広瀬さんが帰って来たのは、20時を過ぎてからだった。

「おかえりなさい。」
「ただいま。」

そう言って、わたしに歩み寄って来る広瀬さんは、わたしを抱きかかえた。

そして、いつものように寝室へと向かう。