あなたのキスで血が巡る


次の日、わたしはふらりと一人で外へ出た。

そして広瀬さんが住むタワーマンションのそばにある広い公園へ向かい、そこにあるベンチに腰を掛けた。

その公園は遊具がなく、ランニングをする人や犬の散歩に来るような公園だ。

すると、綺麗な振袖を来た同世代くらいの女子たちが歩いているのが見えた。

あれ?もしかして、今日って成人式なの?

わたしは綺麗な振袖を着て、楽しそうに歩く女子たちを見つめた。

わたしも普通に生きられてたら、あんな風になれてたのかな。

そう、わたしは普通じゃない。
生まれてくるべきではなかった存在なのだ。

わたしは、母と妻子ある男性の不倫から生まれた望まれない子だった。

母は未婚のままわたしを産んだが、わたしのことを愛してくれなかった。

わたしはいつも一人で、母は家に居なかった。

幼い時に一人で母を探しに外を彷徨い歩き、何度警察のお世話になったか分からない。

児童相談所の施設にも入ったことはあるが、母が迎えに来てはまた同じことの繰り返しだった。

高校生になった時、母はもう完全に家には帰って来なくなった。

だからわたしは、生きていく為に自分の身体を売ってお金を稼いで飢えをしのいでいた。

しかし、それが高2の時に学校にバレてしまい退学。

わたしは、それをきっかけに野良猫になったのだ。