「はい、どうぞ〜。入って。」
「お邪魔、します、、、」
日野石くんは玄関に入ると、靴箱の上に置いてあるガラス皿の中に鍵を入れ、靴を脱いで中へと入って行った。
わたしも靴を脱ぎ、靴を揃えると、日野石くんに続き中へ入って行く。
日野石くんの家は、シンプルなザ・男子な感じの部屋で、グレーの二人掛けソファーにダークブラウンのテレビ台には、何インチが分からないけど一人には充分なサイズのテレビが置いてあり、テーブルも一人暮らし用のサイズできちんと整理整頓がしてある部屋だった。
「ソファーに座ってて?今、飲み物とか出すから。」
日野石くんはそう言うと、二段式の小さな冷蔵庫の前でしゃがみ、冷蔵庫を開けた。
わたしはコートを脱ぎ、ソファーの左寄りに腰を掛けた。
「あ、全然気遣わなくていいよ?」
「そんなわけにはいかないよ。俺から誘って来てもらったんだから。」
そう言って、日野石くんはコップに烏龍茶を注ぎ、「どうぞ。」とテーブルに置いてくれたあと、再び冷蔵庫を開け、両手に何かを持って戻って来た。
「野花はどっちがいい?ショートケーキとチーズケーキ。」
何と、日野石くんはデザートまで用意してくれていたのだ。
わたしはそれに驚きながらも「じゃあ、チーズケーキ。」と答えた。
「オケ!はい、どうぞ。」
そう言って、わたしの目の前にプラスチックのフォークと共にチーズケーキを置く日野石くん。
ケーキなんていつぶりだろう。
それに誰かの家に招かれて、お茶とケーキを出してもらうなんて初めての経験で、わたしは何だか心がむず痒かった。



