わたしが涙を拭っていると、それに気付いた日野石くんは「え、野花?!何で泣いてるの?!俺、ヤバいこと言っちゃった?!」と焦っていた。
わたしは「ううん。」と否定すると、「そんなこと言われた事なかったから、嬉しくて、、、」と言った。
「え、俺そんな喜ばれるようなこと言った?」
「わたしにとっては、、、対等な関係って言ってくれた事も、自分を虐めるなって言ってくれた事も、今まで生きてきたことを凄いって言ってくれた事も、、、全部嬉しいの。日野石くん、ありがとう。」
わたしがそう言うと、日野石くんは前を向いたまま少し恥ずかしそうな表情で「俺は、、、野花の味方だからな。」と言ってくれた。
そして、日野石くんは5階建ての横長のマンションの駐車場に車を停めると、「着いたよ!」と言った。
「ここの3階の305号室が俺んち。」
「お洒落なマンションだね。」
「そう?でも1Lだし、狭いよ。まぁ、一人暮らしだから充分なんだけどさ。」
そう言いながら、正面にある入り口から入り、階段を上って行く。
「日野石くん、今更だけど、、、彼女はいないの?」
わたしがそう訊くと、日野石くんは「いないよ!」とハッキリ答えた。
「日野石くん、モテるでしょ?彼女いないなんて意外。」
「え、俺って遊んでそうに見える?」
「ううん、そうじゃなくて、たくさんの女の子たちから声掛けられてそうだなぁって、、、思って。」
「俺、今まで付き合ったことあるの、高校の時に一人だけだよ。」
「え!そうなの?」
そう話しているうちに3階に着き、305号室のドアの前まで来た。
そして日野石くんは鍵を開けながら、「俺はそんな誰にでも声掛けないし、誰でも家に入れたりしないからね?」と言い、それからドアを開けた。
誰にでも声を掛けないし、誰でも家に入れない、、、?
それなのに、、、わたしは、、、いいの?



