半宵にしがみついて【完】




「…星の観察さ、何気続いてるよな」

「今は、わたしたちふたりだけだけどね」

「最初は6人だったのにな、減ったな」

「…」

みんな、何してんだろうな。という彼の呟きはまた、波のほうへとのみ込まれてゆく。



彼の言う星の観察とは、小学生の頃に理科の宿題で出された、名前の通り星の観察をして、絵をかいて提出するというものだ。わたしたちは同じ住宅街に住んでいるから、同じようにすぐ近くに住んでいる同級生、合わせて6人で星の観察をしていた。


まあ実際に星の観察をしたのは、初めの10分間だけであとは大体おしゃべりの時間だ。小学生の頃のわたしたちにとって夜友達と会うっていうのは、背徳感があってすごく楽しかった。



だからずっと週一くらいのペースで会っていたのだけれど、今ではそのメンバーもわたしたちふたりだけになってしまった。…ある事件をきっかけに。

今のわたしたちは毎月第2土曜日のよる1時から2時にこうやって星の観察をしている。

寂しいかと聞かれたら確かに寂しいけれど、わたしはこの男がいてくれたらそれで満足だと思ってしまうから、薄情なんだと思う。





「…あのね、相談があるんだけど」

「なに改まって。ふつうに怖いんですけど」


しばらくの沈黙のあと、彼のほうを見ることなく慎重に声を発すれば、揶揄うような彼の声が、この空気をどうにかしようとしているのが痛いほど伝わった。