嘘でいいから、 抱きしめて




「……子供の頃ね、僕、あの廃墟にいたんだよ」

「そうか」

「興味無いの?」

「あるかないかと問われれば、勿論ある。しかし、君に研究の手伝いを依頼するにはいくつか問題がある。同時に、君は完治しなければ、ここから出られない」

「……僕のことを毎日見に来てくれる君が、そう言うの?僕の傷なんてもう、半月以上前からないじゃない」

「それでも、君の数値は最悪だ」

「少しは改善されたでしょ。水とサプリだけのほぼ不眠不休の生活から、3食昼寝とおやつ付きになったんだから」

「適正体重まであと少しだな」

「……君に、隠し事は出来ないね」

どこか哀しそうな顔。
目の前に出した結果が不満だったのか、それを指でなぞり、「そっかぁ」と呟く。


「」