大学の授業が終わると、俺は真っ直ぐ彼女の眠る家に訪れていた。昨日預かった合鍵でがちゃりとロックを解除する。
「お邪魔しまーす……」
家全体が静寂に包まれていて、まるで空き巣に入ったかのような気分になった。起きてたらいいな、と淡い期待を抱きながら彼女の部屋をノックしたが、返事はない。昨日は俺1人じゃなかったからいいとして、今日は勝手に部屋に入っていいものかと数分扉の前で悩み、結局ゆっくりとドアを開けた。部屋の中を覗くと、眠っている彼女が見えた。
「本日より家事代行を務めさせていただきます、東堂夏樹です、よろしくお願いします」
本人にはおそらく聞こえていないだろう。だけど俺はなんだかそのまま業務をこなし始めるのも気が引けて、眠る彼女に小声で話しかけていた。
さて、仕事を始めよう。そう思ってその部屋を見渡す。彼女の部屋はものが少なくがらんとしていて、綺麗に整えられているためだろうか、生活感がなかったーーベッドのサイドテーブルに置かれたゼリー飲料と飲みかけの水、乱雑に置かれた薬を除いて。
サイドテーブルに乗せられているものは新しいものに変えて、リビングルームなどを軽く掃除機をかけて……その間にも俺は彼女のことを考えていた。彼女はずっと眠っていて、家族の姿はどこにも見当たらない。仮に陽太のいうように病気だったとして、彼女は1人で眠ったまま最期を迎えてしまうのか……?
心がずきんと痛む。そして俺は、仲良くなってできる限りのことをしよう、と心に誓ったのだ。
「お邪魔しまーす……」
家全体が静寂に包まれていて、まるで空き巣に入ったかのような気分になった。起きてたらいいな、と淡い期待を抱きながら彼女の部屋をノックしたが、返事はない。昨日は俺1人じゃなかったからいいとして、今日は勝手に部屋に入っていいものかと数分扉の前で悩み、結局ゆっくりとドアを開けた。部屋の中を覗くと、眠っている彼女が見えた。
「本日より家事代行を務めさせていただきます、東堂夏樹です、よろしくお願いします」
本人にはおそらく聞こえていないだろう。だけど俺はなんだかそのまま業務をこなし始めるのも気が引けて、眠る彼女に小声で話しかけていた。
さて、仕事を始めよう。そう思ってその部屋を見渡す。彼女の部屋はものが少なくがらんとしていて、綺麗に整えられているためだろうか、生活感がなかったーーベッドのサイドテーブルに置かれたゼリー飲料と飲みかけの水、乱雑に置かれた薬を除いて。
サイドテーブルに乗せられているものは新しいものに変えて、リビングルームなどを軽く掃除機をかけて……その間にも俺は彼女のことを考えていた。彼女はずっと眠っていて、家族の姿はどこにも見当たらない。仮に陽太のいうように病気だったとして、彼女は1人で眠ったまま最期を迎えてしまうのか……?
心がずきんと痛む。そして俺は、仲良くなってできる限りのことをしよう、と心に誓ったのだ。

