「何でよ!」



怒鳴るように訊く南に、少したじろぎながら理穂は口を開いた。



「私・・・怖いの。人を好きになるの」



「どうして?」



南が首を傾げる。



「好きになった人を失った時の事考えると、すごく怖いの」



───もう二度とあんな思いしたくないから。



「・・・でもさ」



少しの沈黙の後、南が口を開いた。



「みんなそうやって恋してるんじゃない?傷ついたって、人を好きになるのは止められないんだから」



そう言って、理穂の弁当の玉子焼きをヒョイとつまんで頬張る。



「大丈夫」



「・・・?」



「次はきっと大丈夫だよ」