「理穂」



名前を呼ばれ、遠藤理穂(えんどう りほ)は書類から顔をあげた。



同時に正午をつげるチャイムが鳴る。



「お昼食べに行きましょ」



同僚の長澤南(ながさわ みなみ)はにこやかに言うと、



「こんなの後にして」



と、理穂の持っていた書類をさっと取り上げた。



「えっ、でも・・・」



と、理穂は口を開いたが、



「いいからいいから」



南は理穂の言葉を無視して、強引に外へ連れ出した。