セレイアは思った。

(好きって言ったら嫌いが出るのだから、嫌いと言えば良いのでは無いかしら?)

お互いの相性を見るため、定期的にお茶会をする。

「セレイア、酔って皆の前で証をつけてすまなかった」

アレクサンドリアは謝った。

(ああ~ちがうのです。私はその事なんてこれっぽっちも気にしていません! そんなことより私は――)
「嫌いです」

嫌いと言ったら、そのまま言葉が出てきた。

「えっ?」
アレクサンドリアは衝撃を受けた。

「ち、ちがうのです」
セレイアはうろたえた。涙眼になる。

「セレイア、そんなに人前で証を付けたことが嫌だったのか?」
「ええと……」
「私が一生懸けて償うから許してくれ」

席から立ちあがりセレイアを抱き寄せようとする。
セレイアは手で制止をかける。

(何で、何で。ここは仲良くぎゅっとしたいのに)

アレクサンドリアは大人しく引き下がった。
お茶会は全然上手く行かなかった。


× × ×

「番でも嫌われるのだろうか?」
「嫌われていたらもうそれは番とは考えにくいですよね」
「そうなのか……」
「まぁ、番でも性格の不一致はあるらしいですよ。珍しいケースですけど」

セレイアとのお茶で、嫌いと言われてしまった。
番とは細胞レベルで好きな相手だ。
正直、番に言われる「嫌い」は精神的にくる。
アレクサンドリアの自尊心はポキッと折れていた。