セレイアは思い付いた。

「口で言えないなら手紙にすれば良いのよ」

さっそくペンと紙を取り出し取りかかる。

『先日は、大変失礼いたしました。
心から謝罪します。
私は貴方の事がとても好きです。
よかったら一緒に植物園に行きましょう。』

謝罪と好意の気持ちを書こうとしていた。
だが『好き』は『憎い』に手が勝手に動く。

出来上がった文章はこうだ。

『先日は、大変無様だったですね。
心からざまあみろです。
私は貴方の事がとても憎いです。
こうなったら決闘だ、植物園で会いましょう。』

セレイアは出来上がった手紙を見て床に転がった。
ノルディクス伯爵はロロに尋ねた。

「最近セレイアはどうしている?」
「なんか……机にかじりついて誰かに果たし状を書いているようです」

伯爵は新聞を広げたまま、ぽかんとした。