数時間後。

「もう大丈夫よ」
「ありがとうございます、メリッサ様」

メリッサの両手をつかんでぶんぶん振るセレイア。

「セレイア、大丈夫か?」

殿下が心配そうに話しかけてくる。
緊張しているようだ。


セレイアはアレクサンドリアのほうに振り返り、破顔した。

「……私、殿下の事が好きです!」

そう言ってアレクサンドリアに抱きついた。

「セ、セレイア!」

アレクサンドリアは固まった。彼の幸せの沸点はものすごく低くなっていたので鼻血を出した。

「良かったです、やっと言えました。本当は大好きって」
「彼女には好意を示せない制約魔法がかかっていたのよ」
「もう一生大好きって言えないかと思いました」
「そうなのかっ!」
「殿下、大大大好きです!」

セレイアは満面の笑みでそう言い、再びアレクサンドリアに抱きついた。
勢いで押し倒した。

「セレイア、今すぐ結婚しよう」

アレクサンドリアは嬉しくてセレイアを横抱きにして連れていってしまう。

「殿下ぁぁ――!」
「いや、今日は婚約の契約だけなのだが」
「若いって良いわね」

叫ぶ臣下と呆れたノルディクス伯爵と笑うメリッサ。