約束の後

午後イチで、海外営業部のエースが何かの手続きに来るらしい。
アメリカ支社と本社の行き来が多い彼は、なかなかお目にかかれないのに、顔良し、人当たり良しで社内ではダントツの人気者。同期だからって理由で、私が有給の日に内線をかけてきて私を指名したらしいんだけど、何しに来るのか他の総務課メンバーに聞かれても本当に知らないんだよね。
ランチが終わって少し経った頃に、紙袋を持って現れた長沢。相変わらず、爽やかスマイルでみんなでどうぞって手土産まで…

「ありがたいけど、営業先じゃ無いんだから、こんなの良いのに。」

「確かに。ちょっと最近の俺、浮ついてるからな。でもまぁ、出張土産だし美味しいから食べてみて。」

「みんな、喜ぶわ。ありがとう。で、わざわざ私指名で何の手続き?」

「結婚したから、届けを出しに来た。」

「…はい?」