約束の後

さっきから、ガンガンなってるケータイ。仕事抜けられないのに、ラインはできんの?涼からのしつこい連絡…

"順番来たのか?"
"渚の体調は?"
"変わった事ないか?"

うるせー!母親かよ!とりあえず、"さっき、呼ばれて中に入った"だけ返しておくか。

"お前、旦那のふりして、一緒に入ってないだろうな?"

はぁ〜。"バカかよ。入るわけねーだろ。俺は待合室で待ってるよ。"どんだけ、心狭いんだよ!弟をなんだと思ってんだよ!

"なら良いけど。そろそろ仕事戻るから、引き続きしっかりな。"

あいつ、なんなんだ?偉そうなのはいつもの事だけど、旦那のふりして中に入っても、先生に止められるだろ!本当に、なぁちゃんの事になると余裕ねーな。

健診が終わったのか、母子手帳を持ちながらおまたせって隣に座るなぁちゃん。白黒のエコーを見せながら、ここが太ももで、これが頭で、とか説明してくれる。
そんな、なぁちゃんが可愛い。こりゃ、涼も余裕無いわけだわ。俺ら兄弟は、昔からこの子に弱いからな。

「全然分かんないけど、とりあえず可愛く成長中って事な!」

「やっぱ、分かんないか!」

「ま、そう言う事です!」