〇俊の家
日曜日、サッカーの大会後に俊の家で2年生部員が集まり打ち上げをしていた。
俊 「みんな大会お疲れ様、次はもう一勝目指すぞー」
部員 「おー」
俊 「そして今日は栞マネの歓迎会も兼ねてる、これからよろしくな、乾杯〜」
部員 「カンパーイ!」
栞 「ありがとう、あたしも頑張ってチームの役に立ちます!」
そう言うと力こぶを見せた。
部員 「充分役に立ってるよ」
部員 「そうそう、怪我の手当とか上手いし」
琴菜 「それは、私が下手って事だよね?」
部員 「いや〜(笑)下手…ではないよ、栞マネよりちょっと…なっ」
部員 「俺にフルな(笑)」
部員 「俊、フォロー頼むな」
俊 「わかった、琴菜、後で覚悟しとけよ」
琴菜 「べーだ、俊は私の言う事を聞くからフォローなんてできませーん(笑)」
栞はこういう可愛さが琴菜ちゃんはあるな〜と笑いながら見ていた。
栞 「ねぇ、打ち上げっていつもしてるの?」
俊 「俺らは入部して最初の総体の地区予選終わりから大会後にいつもしてるんだ」
栞はへぇーと頷いていた。
栞 「仲良いんだね」
部員 「最初、応援だけだったけど話し足りなくて、俊が集まって話そうって声かけてくれて集まりだしたかな」
栞 「みんな仲良くてびっくりした、前の学校がそうでもなかったから、後輩とも仲良いし」
部員 「俊が引っ張ってくれるからだよ」
淳基 「俊の考えというか…俺達8人しかいなくてさ、自分らの代には1年がレギュラー入ってくるからさ可愛がるって言ってさ」
部員 「今の3年も人数いなくて仲良くしてたな、もう1つ上は厳しかった」
部員 「それなのに最初の新人戦に俊はレギュラー入れなくてさ(笑)」
栞 「キャプテンー(笑)」
俊 「それは…ポジション、そうポジションのせいだし、なっ、淳基」
淳基 「さぁな(笑)」
俊 「おいっ」
みんなにそう言う事にしといてやろうと俊はからかわれていた。
栞 「料理は琴菜ちゃんが全部作ったの?」
琴菜 「俊のお母さんが下ごしらえとかしててくれて、後は2人で作るよ」
栞 「キャプテンて料理するんだ、意外」
俊 「母さんが仕事でいないから俺もするよ、琴菜が来てくれる時はまかすけど」
部員 「本当は琴菜マネに手を怪我してほしくなくて自分もやるみたいな説もある(笑)」
部員 「そうだ、そうだ!」
栞 「あたし、料理は全くだめだから凄いね」
琴菜 「栞ちゃんは何でも出来そうなイメージあるけど」
栞 「何だろ、キッチンにずっと立ってられない」
淳基 「せっかちなんだろうね、人には向き不向きがあるから男がするのもありだよ」
部員 「優しいよな、淳基は」
栞は少し赤くなり淳基を見た。
琴菜が冷蔵庫から飲み物を持って戻ってくると俊が琴菜のミニスカートをちらっとめくった。
俊 「あっ、スパッツはいてやがる」
琴菜 「当たり前でしょ、バカ!」
部員 「琴菜マネの服装は俊の好みらしいぜ、栞マネ」
栞 「へぇー、でも琴菜ちゃんは似合うよ、あたしはパンツ派」
琴菜 「そんな感じする〜、あっ、俊、飲み物足りなくなりそう」
俊 「誰か行くか?」
3人が行くと言ってくれて追加の買い出しに行くと栞には寝息が聞こえてきた。
栞 「坂本くん、寝てるよ」
部員 「いつもだよ、腹いっぱいになると寝る(笑)」
俊 「試合中指示出すのこいつだからな、集中力切れたら寝るんだ、琴菜、タオルケット持ってきてくれよ」
琴菜 「はーい」
琴菜がかけると栞と目が合った。
栞 「寝顔可愛いよね(笑)」
琴菜 「私も思う」
俊 「えっ、琴菜、俺は?」
琴菜 「俊は起こすと布団にもぐるから寝起きはやだ(笑)」
栞 「琴菜ちゃんが起こすんだ」
琴菜 「夜勤の時だけね、俊は朝が弱いの、昔から電話とかで起こしてたんだけど2度寝しちゃうのよ」
部員 「いつも一緒に登校するもんな、2人は」
琴菜 「栞ちゃんはどうして転校してきたの?聞いてもいいなら…」
栞 「母親が再婚したのよ、新しいお父さんが家を買おうって、通える距離だったけど…部活も楽しくなくなってたから心機一転って感じ、まあ彼氏とは別れる事になったけど、毎日楽しいからOK〜」
しばらくすると買出し班が戻ってきてみんなで話して時間は夜の10時になった。
部員 「そろそろ帰るか」
〇キッチン
栞と琴菜は片付け始める。
俊 「淳基が送っていくって言ってたから帰る時起こしてって言われてる」
キッチンに言いに来てくれた。
栞 「そうなの?知らなかった」
琴菜 「一緒に来たっけ?」
栞 「ううん、マップ見て来たよ」
〇リビング
片付けが終わるとみんな部員は帰っていた。
栞 「みんな坂本くんを置いて帰るんだ(笑)」
琴菜 「そうなの(笑)みんな電車の子ばかりだからね」
栞 「なるほど」
俊 「淳基、起きろ!みんな帰ったぞ」
淳基は起き上がるとしばらくぼーっと座り子供のように目をこすっていた。
淳基 「なんで…いつも帰ってから起こすのさ…」
栞 「あたしも今そう思ったよ」
淳基 「はぁ…いつもなんだよ」
眠そうに頭を下げている。
栞 「帰れる?」
淳基 「喉乾いた」
栞 「じゃあ何かもらってくるよ」
栞が立つと腕を掴まれた。
淳基 「いい、もうイチャイチャしてるから俺が行く」
栞 「あー」
淳基 「あっ、見てみる?」
淳基はゆっくり立ち上がった。
〇キッチン
琴菜と俊はキッチンでキスをしていた。
淳基 「水もらう」
冷蔵庫からペットボトルを出すと俊は手を振っていた。
栞は淳基に帰ろうと言われてちらっと後ろを見たが玄関に出てくる様子がなかったので静かに2人で俊の家を後にしたのだった。



