好きだと言ってくれるのに…ヤキモチ妬いちゃう《高校生ヒロインマンガシナリオ大賞用》


〇グランド

練習試合から2週間が経っていて栞はすっかりマネージャーが板についていた。

栞 「休憩でーす」

笛を吹くのも栞に代わっていた。

琴菜は俊にドリンクとタオルを渡しにテントから出て駆け寄る。


琴菜 「はい」
俊 「サンキュー」

ゴクゴクとドリンクを飲むと琴菜に渡した。

俊 「後で1年2人を連れて3角のコーンを倉庫から持ってきておいてくれよ」

琴菜 「わかった、ドリブル練習用ね」

俊は頷くと栞が話しかけてきた。


栞 「キャプテン、ちょっといい?」

琴菜は俊のドリンクとタオルを受け取りテントに戻って行った。


俊はテントに戻り部員と楽しそうに話し始めた琴菜を見ている。

栞 「あの…」
俊 「あぁ、悪い、何?」

2人は話し始めると琴菜はチラッと後ろを向いて見ている。


淳基 「気になる?」

淳基が声をかけた。

琴菜 「あっ、栞ちゃんはしっかりしてるなって……私、プレーの事は何もわかんないから…」

淳基 「琴菜マネは今までどおりの仕事をしていてくれれば俺達は助かるんだから周りの事はあまり気にしないで」


琴菜 「周り?ん?何だろうね」

琴菜はニコッと笑った。

俊と栞は話しながらテントに入ってくると琴菜に手を伸ばした。

琴菜はドリンクをもう一度渡す。


琴菜 「栞ちゃんも休んでね」
栞 「うん」


俊は琴菜が首にかけていたタオルの端を持ち自分のおでこを拭いた。

琴菜 「やだ、自分のタオルで拭いてよ〜」

俊 「いいじゃん、彼氏の汗なんだし」

琴菜 「嫌だよ、ね、みんなー」


そうだ、そうだとみんな笑っていた。

栞はじっと様子を見ていた。

仲が良い事で…
琴菜ちゃんはキャプテンが手を出して何を欲しがってるのかもわかるのね。


栞 「琴菜ちゃん、あたし練習メニューの事で先生のとこに行ってくるね」

琴菜 「あっ、はーい」



部活が終了してみんな片付けをしていると栞は俊に寄って行った。

栞 「キャプテン、帰りに少しだけいいかな?」

俊 「サッカーの事?」

栞 「うん、先生の所へ行ってきたんだ」

俊 「わかった」



〇女子更衣室


琴菜のスマホに俊から先に帰っててとLINEが入ってきた。


はーいと返事をしていると栞ちゃんが

栞 「琴菜ちゃん、お先に」
琴菜 「あっ、お疲れ様」


と言って先に出ていった。



〇学校の門


琴菜は1人で学校の門を出ると、少し前に俊と栞が歩いているのを見てしまった。

2人は話をしながらどんどん歩いていく。

琴菜 「なんで栞ちゃんと……一緒に帰るのは私なんじゃないの?」


琴菜は涙が出てきてクルッと方向を変えて逆に歩き出した。

ちょうど門を出た淳基は琴菜が泣きながら目の前を通り過ぎると琴菜が来た方向を見る。すると俊と栞の後ろ姿を目撃した。


淳基 「えっ?ちょっと」

琴菜はいつも帰る方向じゃない道を小走りで走り出した。


淳基 「あの、バカ!」

淳基は琴菜を追いかけた。



〇公園

琴菜は大きな公園に入っていった。

淳基に腕を掴まれて立ち止まる。


琴菜 「大丈夫よ、ハァハァ…ちゃんと帰るから…大丈夫、家までの時間が経ったら帰ったってLINEするし」

淳基 「嘘はダメだよ、確認のLINEの意味がない」

淳基は前に俊をラーメン屋に誘って1人で帰らせてごめんと琴菜に謝っていた。
その時にLINEの事を聞いたよと2人で話していたのだ。

淳基は俊に電話をした。

淳基 「俊、お前今どこにいる?」


〇自販機


俊 「学校出て自販機があるとこ」

淳基 「琴菜マネが2人がいるとこ見て、学校近くの公園でつかまえてるからさっさと来い!」

俊 「えっ?琴菜が?すぐに行く!」

栞 「琴菜ちゃんがどうかしたの?」

俊 「俺らを見て近くの公園にいるみたいだ、行かなきゃ」

栞 「あたしも行く!」


2人は走って琴菜のいる公園へ向かった。


〇公園


俊 「ハアハア、悪い淳基……琴菜?」


琴菜は下を向いて黙っていた。


栞 「あたしが話すよ、ごめん、ちゃんと言わなかったから…」


栞は琴菜の手を引いてブランコの方に行く。


栞 「今日、先生のとこに行くって言ったでしょ?練習内容の変更の許可をもらいに行ったの、それをキャプテンに伝えようと思って話があるってあたしが呼んだの、部活中じゃ時間がなくて」

琴菜 「…栞ちゃん」

栞 「琴菜ちゃん、あたし前の学校に彼氏がいるの、キャプテンの事、取ろうとか思ってないから」

琴菜 「栞ちゃん……その情報は最初に欲しかったよーーー、ごめんね」

琴菜は泣き出した。

栞 「ごめんね、サッカーの事になるとあたしって夢中になるとこがあって」

琴菜と栞は抱き合った。

栞は琴菜の背中をポンポンと撫でていた。



淳基 「どうやら大丈夫そうだな、だから気をつけろって注意をしてたのに」

俊 「でも、琴菜もいつも通りだったし」


2人は男子の方に戻ってきた。

琴菜 「ごめんなさい、大袈裟になっちゃって」

琴菜が謝る。


栞 「あたしね、前の学校でキャプテンとマネージャーが付き合っててね、仲良すぎて部員から結構不満が出て、チームがあまりまとまってなかったの、ここもそうかなと思ったけど…1年と2年も仲良くて、琴菜ちゃんもキャプテンだけじゃなくてみんなと仲がよくてびっくりした」

俊 「琴菜は……あまり運動が得意じゃないし、悪く言えばトロい」

琴菜 「うっ……」

俊 「でもみんなを笑顔にする為に俺が入れた、居てくれるだけでいいんだよ」

琴菜 「そんな、何も仕事をやってないみたいじゃない、俊のバカ…」

栞 「うん、あたし鬼マネージャーとか言われてたから琴菜ちゃんが部活が楽しいって言ったから入ろうと思ったのね、サッカーの事になると夢中になって本当にごめんね」

淳基 「でも確かに平日は部活が始まると話せなくなるからさ、明日の部活前に少し早めに集まってちゃんと話せば?明日は土曜日だし」

栞 「そうだね」

俊 「淳基もじゃあ、明日集合な」

淳基 「俺は別に後でもよくないか?」

俊 「いや、だめだ」

そう言うと俊は琴菜を後ろから抱きしめて淳基にニヤリと笑う。

淳基は俊が早く2人にさせろという意図を汲み取った。


淳基 「…わかった、栞マネ、帰ろうか、お邪魔みたいだから」

栞 「そうね(笑)」


栞と淳基は公園から出ていった。