好きだと言ってくれるのに…ヤキモチ妬いちゃう《高校生ヒロインマンガシナリオ大賞用》


〇教室

去年は違うクラスだった俊とは進路を同じにしたため2年で同じクラスになっていた。

一緒に登校して教室に入るとそれぞれの友達を優先すると決めている。

琴菜が席に着くと友達の真希(まき)が寄ってきた。


真希 「おはよう、琴菜、久しぶり」
琴菜 「おはよう〜」

真希 「ん?疲れてる?夏バテとか…」
琴菜 「大丈夫、今日は起こす日だったから少し早起きしただけ」


真希は朝のルーティンが時々あることを知っている友達だ。

1年の時も同じクラスだった。

でも疲れてるのは早起きだけではない。

前日は当然俊の部屋で抱かれるから寝るのも遅くなるのだ。

夜中に自分の家に帰るが、特に自分の親に怒られる事はないから、たっぷり愛してくれるのだ。



ふあぁと大きなあくびをすると始業のチャイムが鳴り真希は自分の席に戻っていった。

始業式をモニターで行ない担任が転校生を連れてきたのだ。



担任 「今日は転校生を紹介する」
御崎 「御崎栞(みさきしおり)です、よろしくお願いします」

サラサラのロングストレートの美人な子だった。

休み時間になると御崎さんの周りに集まった。

誰かが前の学校で部活やってた?と質問をすると

御崎 「前はサッカー部のマネージャーをやっていたよ」

と答えた。

琴菜は前のめりになって御崎さんに話しかけた。

琴菜 「わ、私、サッカー部のマネージャーをしてるの、よかったら見学に来ない?」

御崎 「そう…見学させてもらおうかな」
琴菜 「じゃあ、放課後いい?」

御崎さんは頷いてくれて琴菜は嬉しそうに自分の席に戻った。

今年は1年のマネージャーが入部しなかった。

3年のマネージャーが受験の為、総体で引退したため今は1人で仕事をこなしている。

正直人手が欲しい…
御崎さんに入部して欲しいな〜



〇グランド

放課後、琴菜は御崎さんを連れてグランドに行った。

御崎 「正直、途中入部って考えてなかったの」
琴菜 「マネージャーだから大丈夫よ、今ね、私一人なの…あっ、でも強制じゃないから自分で納得してくれたら…」
御崎 「わかった」

後輩 「マネージャー、ちわっす」
琴菜 「こんにちは」

琴菜は笑顔で挨拶をした。


御崎栞は琴菜を可愛い子だなと思って見ていた。

ふわふわの柔らかそうな髪に大きな目、ぷるぷるした口唇

モテるだろうな…

琴菜 「俊!」

栞は前から歩いて来ている男子生徒が顔を上げるのを見た。

おっ、なかなかのイケメンと栞は思った。


呼ばれた俊は走って琴菜の側に寄ってきた。


琴菜 「俊、御崎さんね、前の学校でサッカー部のマネージャーをしてたんだって、見学してもらってもいい?」


俊は栞を見た。

俊 「いいよ、暑いからそこのテントに椅子があるから座って見てて」

栞は頷いた。

琴菜 「キャプテンの河田俊くんだよ、同じクラス…まだ男子とか覚えれてないよね?」



同じクラスだったんだ…

栞 「そうね、まだかな」

琴菜 「私、急いで着替えてくるから座ってて」

琴菜はテントの椅子を栞に差し出した。


栞は椅子に座りグランドを見渡した。


顧問の先生はまだ来ていない…キャプテンが指示出しかな

練習着もお揃いではなく各自のもので自由か

さっき後輩もちわっすなんて軽い挨拶をしていたから厳しい部活ではなさそう



栞が分析をしていると琴菜がジャージに着替えて走って来ていた。


琴菜 「ごめんね、1人にさせちゃって…ハァハァ」

急いで来てくれたんだろうな…

栞 「大丈夫よ」

琴菜はテントの中においてあるスクイズボトルとカゴを持つ。


琴菜 「ちょっとドリンクを作ってくるね」
栞 「何個作るの?」

琴菜 「10個、足りなくなったらその都度になるけど…私ってトロいから時間かかっちゃう」

琴菜はニコッと笑った。

男子はこういう可愛い子がいいんだろうなぁ…

あたしは部活中にこういう笑顔は出来なかったな

栞は前の学校の部活と比べていた。

練習に手を抜いてたら注意して…鬼マネージャーなんて呼ばれていた。

栞はグランドを見渡して

栞 「面白いかも…」

と言った。


しばらくすると重たそうに琴菜が戻ってきた。

琴菜 「ごめんねー、御崎さん、退屈だよね」

琴菜はカゴを置くと椅子に座った。

タオルで汗を拭いている。

栞 「1年生とかに手伝ってもらわないの?」

琴菜 「間に合わなくなったら手伝ってくれるよ、最初は全員でランニングと基礎練をするからその間に作るの」

暑いね〜とうちわであおいでいる。


部員が1人テントに入ってきた。


後輩 「琴菜マネ、絆創膏ちょうだい、あっ、ちわーす」

栞に頭を下げる。


琴菜は救急箱から絆創膏を出して腕に貼ってあげていた。

琴菜 「これでいい?」
後輩 「ありがとう」

そういうと走ってみんなと合流した。

栞 「今のって1年生じゃないの?」
琴菜 「すごーい、よくわかったね」

大きな目が少しまた大きくなりクリクリとしていた。

栞 「体操服を着てたから…学年で色が違うんでしょ?」

琴菜 「そうなの、よく知ってるね」

栞 「夏休みに買いに行ったら店の人が教えてくれたよ」

琴菜 「そっかー」
栞 「何で敬語じゃないの?」

琴菜 「……ん?気づかなかった、別に気にしないかな」

アハハとまた笑っていた。

栞には信じられなかった。

後輩に舐められているのかなとさえ思っていた。

基礎練が終わり部員がテントに集まってきた。


夏の暑さには水分補給がかかせない

部員 「琴菜マネ、スプレー取って」
琴菜 「はーい、どこ?」

2年生の部員は琴菜にふくらはぎを見せると琴菜はスプレーをしてあげていた。

部員 「ありがとう」
琴菜 「いえいえ、熱中症に気をつけてよ」


部員同士賑やかに話している。


1年 「先輩、今日はタイム俺の勝ちっす」
2年 「次は負けねえ(笑)」


栞はびっくりしていた。
前の学校では考えられなかったのだ。

琴菜は俊にドリンクとタオルを持っていき2人で笑いながら話していた。

俊 「集合ーーー」
部員 「うぃーす」


キャプテンの俊が声をかけるとみんなテントを出ていき、琴菜が戻ってきた。

あちこちにタオルが置きっぱなしになっていたのをもう〜と言いながら畳んでいく琴菜

栞 「ねぇ、塚本さん」
琴菜 「何?」

栞 「部活楽しい?」
琴菜 「うん!楽しいよ」

琴菜はまた笑っていた。


そっか……

栞 「あたし、親に言ってきてないからそろそろ帰るね」

琴菜 「あっ、そうだよね、ごめんね、引き止めちゃって、また明日ね〜」

笑顔でブンブンと手を振ってくれた。

楽しいのか…

栞は少し笑顔で家に帰るのだった。