好きだと言ってくれるのに…ヤキモチ妬いちゃう《高校生ヒロインマンガシナリオ大賞用》


〇キッチン

琴菜 「おはようございます」

母親 「おはよう、唐揚げの下味つけといたわ、明日の夜揚げてね」

琴菜 「はい」


〇俊の部屋

琴菜は声をかけてカーテンを開けた。

俊 「…ん、琴菜か?」

琴菜 「うん」

俊 「おはようのキスちょうだい」

琴菜が俊に寄っていくと頬と口唇の半分に真っ赤な口紅がついている。

琴菜 「っ…俊のバカ!知らない!」

琴菜は走って出ていってしまった。

俊 「なんだぁ…」



〇キッチン

母親 「琴菜ちゃん、走って出ていったわよ、あら、あー怒って当然ね、鏡見なさい」


〇洗面所

俊は鏡を見た。

俊 「ゲッ、やばい泉姉ちゃんそういえば化粧落としてなかった…口紅ついてるじゃん、琴菜が激おこじゃんー」

俊は顔を洗い母親のクレンジング兼洗顔クリームで何とか落としたのだった。


〇女子更衣室

栞 「あれ、琴菜ちゃん早いね、おはよう」

下を向いていた琴菜が顔を上げると涙でぐしゃぐしゃだった。

栞 「ど、どうしたの」

琴菜 「うっ、栞ちゃん、俊が浮気したー」

栞 「それはないでしょ、あたしの時みたいに話してただけじゃない?昨日デートもしたんでしょ」

琴菜 「違う、その後だったんだよ、証拠があるもん」

栞 「何?」

琴菜 「朝起こしに行ったら俊のほっぺたと口に口紅がついてたの」

栞 「それは……」

琴菜 「口紅なんて大人の人だし子供っぽい私とは違うもん…また走って逃げちゃった」


〇部室

俊 「おーす」

後輩 「おはようございます」

後輩から挨拶がとぶ。

2年 「どうした、テンション低いな、来るの遅かったし」

俊 「琴菜を怒らせちまった…はぁ」

部室が静かになった。

淳基 「1年、悪いけど部室から出て準備」

1年 「はい!」

淳基が2年だけにしてくれた。

部員 「明日クリパだぞ」

俊 「わかってるよ」

部員 「何か嫌がるプレイとかしたんじゃねえの?」

俊 「いや、昨日は母さんがいたから」

部員 「琴菜マネは休み?」

俊 「いや、わかんねぇ、電話しても無視だし」

部員 「早く着替えろ、来てなかったら1年にさすから」


そういうと淳基以外はグランドに行った。

淳基 「琴菜マネが怒る心当たりはあるんだよな」

俊 「まあ、でも俺はされたんだよ!」

淳基 「何を?」

俊 「キス」

淳基に事情を説明すると、二度寝がすべてを壊したなと言われた。

淳基 「まあ謝るしかないよね」


〇グランド


琴菜は俊と関わらないように栞にタオルもドリンクも頼み、ケンカをみんな知っているので何も笑顔がなく終わったのだ。



〇校門前

栞 「琴菜ちゃんならダッシュで帰ったよ」

俊はため息をついた。

栞 「早く謝る事ね、今日でわかったでしょ」

淳基 「栞ちゃん、話聞いたら不可抗力だから」

栞 「不可抗力でも琴菜ちゃんが怒るのは当然でしょ?あたしだって嫌だよ、淳基くんがキスマークとかつけてたら、別れるってなる」

俊 「とりあえず家に行って謝ってくる」

俊は走って帰って行った。

栞 「何、赤くなってんのよ」

淳基を見た。

淳基 「いや、さっきの…嬉しかった、ヤキモチ妬いてくれるんだなって」

栞 「わからないよ、あたしの場合、すぐ別れるって言っちゃうから」

淳基は背筋に何か電気が走った感じで気をつけると言うと一緒に帰っていった。


〇琴菜の家

インターフォンを押すと琴菜のママが出てきた。

俊 「琴菜、いますか?」

ママ 「いるわよ」

俊 「いい?」

ママに了解をもらうと琴菜の部屋をノックしてドアを開けた。


〇琴菜の部屋


俊 「琴菜」

琴菜は布団に潜っていた。

俊 「琴菜、ごめんな、本当にごめんなさい、聞いて欲しい…」

琴菜からの返事はなかった。

俊 「昨日帰るといとこの泉姉ちゃんが来ていて、母さんと飲んでたんだよ、昔家庭教師してくれてたの知ってるだろ?で起きたら隣に寝てたんだよ」

琴菜 「何で俊の布団に入らなきゃいけないのよ」

こもった声が返ってきた。

俊 「起きた俺もびっくりだよ、失恋したって話し出すとあっという間に勝手にキスされて帰って行ったんだ…その後、俺が口紅とか気づかずに二度寝したのは本当に申し訳ないけど…寝ちゃったんだよ」

琴菜 「失恋しても俊にキスするのは違うと思う…」

俊 「後で母さんが言ってた、飲むとキス魔になるって」

琴菜 「でも俊はまだ高校生だよ、大人はズルい、お酒のせいにして」

俊 「ごめん、次から気をつける、琴菜、布団から出てきて、お願いだから」

コンコンとノックがあり、ママが飲み物を持ってきてくれた。

ママ 「琴菜が拗ねてるんでしょ」

俊 「いえ、俺が悪いので」

俊はママに経緯を説明をした。

ママ 「琴菜だって昔、いとこにキスしたわよ」

俊 「えっ?」

琴菜が顔を出した。

琴菜 「何、それ?覚えてないよ」

ママ 「いとこの葵くんにおばあちゃん家で…遊んでくれてありがとうって口にキスしてた(笑)俊くんといつもしてるから習性って怖って思ったもん」

琴菜 「知らない、覚えてないもん」

ママ 「いつまでもヤキモチ妬いてると俊くんに本当に嫌われるわよ」

琴菜 「嫌われる?」

ママ 「そりゃそうよ、これから社会人になって色んな人に出会うのよ、その度にヤキモチ妬かれたら俊くんだって嫌になるわよ」

琴菜 「そうなの?」

うるうるした目で俊を見る琴菜

俊 「それはわからないけど…」

ママ 「これからお父さんを迎えに行くから早く仲直りしなさいね、ケンカは次の日に持ち越さない、じゃあ」

俊は頭を下げた。