あなたの記憶が寝てる間に~鉄壁の貴公子は艶麗の女帝を甘やかしたい~

フィアンセ?!
婚約者って意味よね⁉

「あの…どうしてフィア」

「大輝から聞いてたのよ!結婚したい人が居るって。ふふっ。指輪似合ってるわ~」

(ゆび…わ?)

左手に先ほど牛丼屋さんで見せられた指輪がはめられてる。

「これ!あの…」

「大輝の上着のポケットに入ってたのよ!イニシャルもほら!」

イニシャル…?
少しぶかぶかの指輪を外して内側を見ると
d to t
大輝のdと珠子のt…?
そんなバカな事ある⁈

「 サイズは少し大きかったみたいね。んも~このバカ息子は」

お母様らしき女性は私に微笑んで寝てる彼を一睨みした。

結婚したい人って…私はさっきプロポーズされたはずで…前もって話すっておかしくない?
それにイニシャルまで彫られてる。
実は本当は私を好きだったとか?
それは!それは無いでしょ⁈

「それじゃ…」

(本当は別にいたんじゃ…)

「すみませ」
「大輝?!目が覚めた?!」
「大丈夫か?」

次々と彼に話しかけるから私が入る間がない。

「おれ…皆んなでどうしたの?」

記憶が混雑してるっぽい。

「マネージャーあの!」

何とか大きく声を出すと彼は私をじっと見つめて

「そっか…珠子と一緒に」

「た、たた、珠子?!」

「やっぱり!!!珠子ちゃんが」
「いやいや…あの」

珠子なんて呼び捨てした事ないですよね?
でも彼が嘘をついてるようには見えない。