「十二指腸潰瘍だったよ」
言い方は優しいけど顔が怖い。
イケメンが怒ると別の意味で破壊力がある
「薬と通院で大丈夫だけど酷い場合は」
「大人しくしてますから…」
何度も聞いた酷いと出血したり入院になってたらしい。
初期段階で出血する人もいるけど私は酷い痛みが続いてるだけで放置した結果がこんな事に。
大量のアルコールが症状を悪化させたらしい。
「早く帰って来て正解だった」
病院で涙目の彼をみて不摂生を後悔した。
「治ったらお祝い旅行にでも行こうな」
出張を早く切り上げ帰宅すると私が倒れていたと言うわけで…
あの疲れた声は仕事を前倒しで頑張ってくれてたんだと思う。
「ですね」
嬉しそうに話す彼に微笑み返した。
言う事、聞く事はたくさんあるけど何も聞かない彼。
私の体調を考えての事だと思う。
(…もう少し待って貰おう)
「あのところで…部屋…」
病院から帰宅して真っ先に彼の部屋に寝かされた。
「自室にこもられてまた何かあってもすぐ助けられないからね」
まずは二週間自宅療養と診断されて蘇芳にも一週間追加で休むと連絡を入れた。
「橘チーフと矢田主任から少し話は聞いたけどゆっくり休んで」
そう言って布団をポンポンとすると「水置いとこう」とキッチンに歩いていく。
「少し良くなったら話さなきゃ」
頭を起こしキッチンへ向かう背中を見つめてた。
◇◇
休みも一週間経つと早起きにもなる。
「時間ですよ」
隣で布団に包まる彼に声を掛けた。
「…あと…少し…」
この言葉5回は聞いた。
彼はシフトに組み込まれないフレックスタイム制だから時間は自由なんだけど私は気になって仕方ない。
「いい加減起きて下さい」
半身を起こして布団と彼を揺すると布団の中で「珠子、真面目すぎ」とブツブツ言って前髪がはねた寝癖状態でようやく起きた
「ふふっ。寝癖やばいですよ」
可愛い。
イケメンは寝癖ですらイケメン。
寝起きのグズグズにすら母性を擽(くすぐ)る
この一週間は彼の甘やかしが凄かった。
2日間彼は仕事を休み私の世話を焼きたがり…
顏を合わせるのをためらってたはずのおばあ様やお義母様が来ては看病してくれた。
お風呂まで付いてくる彼は…さすがに断った。
「連絡するからきちんと寝て大人しく」
いつもと同じようにビシッとネイビーのスーツを着こなしてる。
「本当に頑固だよな」
心配だからと彼も一週間会社を休むと言い出した時は本当に困った。
それを止めるとグズる子供みたいに駄々をこねて…今は渋々毎回準備をする。
「私が頑固と言うより心配しすぎ」
「でも」とか「何か」とかブツブツ言いながらやっと準備を終えた。
「病院の結果は連絡して」
「分かりました。気を付けて」
今日は病院に行く日。
子供じゃないんだから…と思っても心配は有難い。
静かに閉まる玄関のドアに「いってらっしゃい」と手を振った。
「そうだ携帯」
仕事を離れると色々疎かになる。
充電すら気にして無かった。
「メール?」
通知に気づいて送信相手を見ると奏からの連絡で返信をして私も準備を始めた。
「珠子ー」
「久しぶり。色々迷惑かけてごめんね」
今日休みの奏と久しぶりに外で会う。
身長低いのにいつもパワフルの奏を羨ましく思う事もしばしば。
「迷惑なんて!あんたの凄さに皆んな驚いてるわよ。よくあんな従業員数仕切れるわね」
蘇芳で最も古く一番最初に出来た東館は他の館に比べて館の規模も従業員数も桁外れに多い。
彼は四館の統括マネージャーで有りながら東館に常駐してるのはそう言う理由もある。
「私一人でやってるわけじゃないわよ。皆んなの助けがあるから出来てた」
でも結局大変な時期に問題大きくして身体を壊して…情けない。
「そうだけど、私には絶対無理」
可愛い顔を歪めてオレンジジュースのストローで遊びだした。
「体調はどう?病院どうだった?」
「あぁ、大丈夫!無理はまだ出来ないけどね。ゆっくり治すようにするわ」
過保護な彼に「もう大丈夫」と連絡したし過保護が少しは軽くなるだろう。
「珠子ってずーっと走って来たからねー。あのクソ上司相手に」
遊んでたストローを含みチューっと一気に飲み干し苦々しい顔を向ける。
確かにあの上司の理不尽振りには入社当時から困らせられた。
「そうそう。これ預かったの」
白い便箋には中原さんの名前が書いてある。
「連絡先聞かれたけどプライベートだから止めといた。そしたらこれをって」
「そうか…わざわざありがとう」
「何か浮かない顏ね」
言い方は優しいけど顔が怖い。
イケメンが怒ると別の意味で破壊力がある
「薬と通院で大丈夫だけど酷い場合は」
「大人しくしてますから…」
何度も聞いた酷いと出血したり入院になってたらしい。
初期段階で出血する人もいるけど私は酷い痛みが続いてるだけで放置した結果がこんな事に。
大量のアルコールが症状を悪化させたらしい。
「早く帰って来て正解だった」
病院で涙目の彼をみて不摂生を後悔した。
「治ったらお祝い旅行にでも行こうな」
出張を早く切り上げ帰宅すると私が倒れていたと言うわけで…
あの疲れた声は仕事を前倒しで頑張ってくれてたんだと思う。
「ですね」
嬉しそうに話す彼に微笑み返した。
言う事、聞く事はたくさんあるけど何も聞かない彼。
私の体調を考えての事だと思う。
(…もう少し待って貰おう)
「あのところで…部屋…」
病院から帰宅して真っ先に彼の部屋に寝かされた。
「自室にこもられてまた何かあってもすぐ助けられないからね」
まずは二週間自宅療養と診断されて蘇芳にも一週間追加で休むと連絡を入れた。
「橘チーフと矢田主任から少し話は聞いたけどゆっくり休んで」
そう言って布団をポンポンとすると「水置いとこう」とキッチンに歩いていく。
「少し良くなったら話さなきゃ」
頭を起こしキッチンへ向かう背中を見つめてた。
◇◇
休みも一週間経つと早起きにもなる。
「時間ですよ」
隣で布団に包まる彼に声を掛けた。
「…あと…少し…」
この言葉5回は聞いた。
彼はシフトに組み込まれないフレックスタイム制だから時間は自由なんだけど私は気になって仕方ない。
「いい加減起きて下さい」
半身を起こして布団と彼を揺すると布団の中で「珠子、真面目すぎ」とブツブツ言って前髪がはねた寝癖状態でようやく起きた
「ふふっ。寝癖やばいですよ」
可愛い。
イケメンは寝癖ですらイケメン。
寝起きのグズグズにすら母性を擽(くすぐ)る
この一週間は彼の甘やかしが凄かった。
2日間彼は仕事を休み私の世話を焼きたがり…
顏を合わせるのをためらってたはずのおばあ様やお義母様が来ては看病してくれた。
お風呂まで付いてくる彼は…さすがに断った。
「連絡するからきちんと寝て大人しく」
いつもと同じようにビシッとネイビーのスーツを着こなしてる。
「本当に頑固だよな」
心配だからと彼も一週間会社を休むと言い出した時は本当に困った。
それを止めるとグズる子供みたいに駄々をこねて…今は渋々毎回準備をする。
「私が頑固と言うより心配しすぎ」
「でも」とか「何か」とかブツブツ言いながらやっと準備を終えた。
「病院の結果は連絡して」
「分かりました。気を付けて」
今日は病院に行く日。
子供じゃないんだから…と思っても心配は有難い。
静かに閉まる玄関のドアに「いってらっしゃい」と手を振った。
「そうだ携帯」
仕事を離れると色々疎かになる。
充電すら気にして無かった。
「メール?」
通知に気づいて送信相手を見ると奏からの連絡で返信をして私も準備を始めた。
「珠子ー」
「久しぶり。色々迷惑かけてごめんね」
今日休みの奏と久しぶりに外で会う。
身長低いのにいつもパワフルの奏を羨ましく思う事もしばしば。
「迷惑なんて!あんたの凄さに皆んな驚いてるわよ。よくあんな従業員数仕切れるわね」
蘇芳で最も古く一番最初に出来た東館は他の館に比べて館の規模も従業員数も桁外れに多い。
彼は四館の統括マネージャーで有りながら東館に常駐してるのはそう言う理由もある。
「私一人でやってるわけじゃないわよ。皆んなの助けがあるから出来てた」
でも結局大変な時期に問題大きくして身体を壊して…情けない。
「そうだけど、私には絶対無理」
可愛い顔を歪めてオレンジジュースのストローで遊びだした。
「体調はどう?病院どうだった?」
「あぁ、大丈夫!無理はまだ出来ないけどね。ゆっくり治すようにするわ」
過保護な彼に「もう大丈夫」と連絡したし過保護が少しは軽くなるだろう。
「珠子ってずーっと走って来たからねー。あのクソ上司相手に」
遊んでたストローを含みチューっと一気に飲み干し苦々しい顔を向ける。
確かにあの上司の理不尽振りには入社当時から困らせられた。
「そうそう。これ預かったの」
白い便箋には中原さんの名前が書いてある。
「連絡先聞かれたけどプライベートだから止めといた。そしたらこれをって」
「そうか…わざわざありがとう」
「何か浮かない顏ね」



