あなたの記憶が寝てる間に~鉄壁の貴公子は艶麗の女帝を甘やかしたい~

「うちの末廣とその女の不倫の話」

フンと鼻を鳴らしいつもの部長同様テーブルをコツコツと指で鳴らす

「詳しい事は聞いたのかね」

シルバーフレーム越しに冷たい目線を向けられて痛み出した胃を何とか誤魔化しながら軽く笑顔を作った。

「話は彼女から聞きました」

ゆっくりと本題に入っていく。
こっちが悪いかのような奥さんの態度と庇いもしない上司に怒りが込み上げてくる。
グッと堪え真っ直ぐ奥さんを見つめた。

「そう。うちも旦那に事情を聞いたわ。その女に付き纏われて困ってるって」

こうも嘘をよく並べられるなと呆れてくる。

「そうですか。では弁護士を立てて話し合いされますか?」

こっちには一部始終では無い物の付き合う事を強要するような録音アプリとメール。
彼女の連絡先の漏洩は香澄の調べで広報部の社員が脅されて教えていた。
一番の証拠は通用口で嫌がってる彼女に抱きつき揉めてる防犯カメラ!

「藍沢くん!!まずは謝るのが先じゃないのか?!奥様になんて事を!!」

隣から私に怒号を浴びせる上司。
奥さんは私の表情と話しぶりに怒りを露わにし顏が真っ赤。

「貴方は何様なの?!事を大きくしない為に私はこちらに来て上げたのに!!」

怒りに瞳孔が開いてる。

「私は話を聞き彼女を信用してます。私にとって彼女は大事な部下です。」

彼女の身体を震わせる光景と最後の笑顔を思い出して止まらなかった。

「失礼ですけど奥様は彼の何を信用されたんですか?」

「なっな、何なのこの女」

奥様の怒りは頂点に達してる。
私はその怒りを受けながし続けた。

「彼のやった行動はこちらも証拠として残してます。彼女が警察沙汰まではと言うので穏便に済ませるつもりだったんですが…どうされます?私なら卑劣な貴方の旦那様を許す事なんて絶対に出来ませんけどね」

冷静に告げるつもりが語尾が強くなり目線も怒りに満ちてたと思う。
ワナワナ震える奥さんは俯いて「もう一度話を聞きます」と静かに答えた。

「何で早くその話をしなかったんだ。中原さんが噂によっては傷ついただろう」

隣で一人頷く上司に「申し訳ないですが」断りを入れて身体を向けた。

「失礼を承知で…貴方は部下の事を信用しないんですか?頭から彼女を悪者扱いで。女性の彼女がどれだけ傷ついたと思います?」

堰を切ったように出た言葉は止まらず…

「前々から貴方のパワハラ紛いにはほとほと呆れてました。女を馬鹿にしてふざけんなジジィ!!」

大きな声とテーブルを必要以上に激しく叩くと入口のドアが勢いよく開き会長が慌てたように入ってきた。

「矢田主任に話を聞いて藍沢チーフを探してたんだが…これはどう言う事かね」

香澄が万が一に備えて話してくれてたみたい。
私達三人に目をやり会長は自分の額に手をやり怒りに震える私に困った表情を浮かべた。