期限の無い約束

「海ってそこの?」

「そうだよ。昼間も散歩しに行ったんだけど、裸足のまま家の中に入ってお母さんに怒られた。タオル取りに行ってから、外の水道で洗ってから入ってきてってさ。
タオル取りに行くのに家に入るから、外で洗う意味無いよね。」

「相変わらずだな、渚ママ。」
隣で私の知ってる顔で笑ってるりょうちゃんに、ドキドキが止まらない。

「でしょ?今夜は、結婚式って分かってるのに着替えて
る間に夕飯作ってくれてたよ。相変わらずでしょ?」

「そういえばさ。年長の時に、お迎えの時間寝過ごして来なかった事あったよな。」

「あった、あった!
妹のお昼寝の寝かしつけしてそのまま寝てたやつね!うっかりエピソードなら、絶対うちが一番だよ!」

何故かうちのお母さんのうっかりエピソードで盛り上がり、二人っきりの緊張感が嘘みたいに不思議と普通に喋れた。天然な母よありがとう!

「なんか、懐かしい話したら海に行きたくなってきた。少し元気になってきたなら、海見に行くか。」

「お陰様で。そうだね、ちょっと寄って帰ろうか。」

「おう。その代わり、帰りは家まで送って行くからな。」

「いや、大丈夫だから!悪いし!ちょっと遠回りになるでしょ?」