期限の無い約束

「離してよ、みんな見てる。」

「せっかく会えたのに、何で?このままキスしてもいいかな?」

「んな訳ないでしょ!ここ日本だから!会社だから!明日からどうするの。めっちゃ部署の人に見られてるんだけど。」

「いいじゃん。別に、きちんと挨拶するし。」

「変なとこアメリカ感出して来ないでよ。」

「見られちゃったもんは仕方ないだろ。ほら、隣でみなさん、興味ありげに待ってるよ。」

「うん。言われなくても視線は感じてるから。」
俺の渚ですって言えるなんて最高だな。
渚には悪いけど、周りへの牽制も兼ねて待ってた甲斐があったな。

「お騒がせしてすみません。こちら、あの…何というか…」

「初めまして。柳生渚(やない なぎさ)の婚約者の長沢
 (ながさわ)です。先程帰国したばかりでつい…お騒がせしました。」

「「「「えーーーーっ??」」」」

「やなちゃん、彼氏ずっといなかったよね?」

「そう…なんですけど。なんと言ったらいいのか…」